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平成21年12月 第2383号(12月2日)

事業仕分け
  国大運営費交付金あり方含め見直し
  先端的取組みも1/3程度縮減

 来年度予算概算要求の無駄を見直す「事業仕分け」WGは11月24日、国立大学90法人への「国立大学法人運営費交付金」(概算要求1兆1708億円)について議論した。
 国立大学は2004年度に独立行政法人化し、交付金を各大学の裁量で使えるようになったが、2007年度からは毎年1%ずつ削減されてきた。しかし、来年度は今年度を上回る額を要求している。
 議論の冒頭で枝野幸男統括役が「この議論は難しい、1%削減する中で苦しい声が上がっている」と述べたが、仕分け人たちからは「文科省から約200人も大学等に出向していて、国立大学法人にした意味があるのか」「理事長に民間人を起用するなどして経費削減を考えられないか」などといった厳しい指摘が相次いだ。
 また、財務省サイドからは競争的資金へのシフトを強調する声があり、それに対しては「総額をおさえる中で競争的資金にシフトすると、どの大学も間接経費30%のある科研費等に走ってしまう。“お金にならない”人文社会系の基礎研究などがおろそかになってしまうのではないか」と反発する声もあった。
 これに対して文科省サイドは「交付金のこれ以上の削減は限界である」と回答したが、仕分けの最終的な評価結果は「国立大学のあり方を含めて見直しを行う」とされた。(とりまとめコメント=15名の仕分け人全員が見直しを求めた。大学の教育・研究については「しっかりやってもらいたい」ということで異論はない。そのためのお金はしっかり整備すべき。教育研究以外の部分における民間的手法を投入した削減の努力などをし、見直してほしい)
 また、国立大学運営費交付金のうち特別教育研究経費(留学生受入促進等経費、厚生補導特別経費、プロジェクト経費)についての評価結果は「予算要求の縮減」となった。この中のプロジェクト経費には、ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」やすばる望遠鏡などのプロジェクトも含まれている。すでにスーパーコンピュータの予算見送りなどで関係者の反発が相次いでいる。また、国立大学運営費交付金について去る24日、東京大学等の九大学の学長らが「大幅に拡充し、研究基盤を盤石にすることが不可欠」との共同声明を出している。
 そして、文科省は、日本の高等教育への公財政支出は対GDP(国内総生産)比0.5%であり、OECD加盟国で最下位であるなどと訴えている。
 ●11月25日(第七日目)の第三WGの「事業仕分け」評価結果
 ▽国立大学運営費交付金(特別教育研究経費除く)→国立大学のあり方を含めて見直しを行う
 ▽同(特別教育研究経費)→予算要求の縮減
 ▽大学の先端的取り組み(グローバルCOEプログラム、組織的な大学院教育改革推進)→予算要求の縮減(1/3程度縮減)
 ▽同(グローバル30、大学院教育のための戦略的大学連携、大学教育・学生支援)→予算要求の縮減
 ▽大学等奨学金→見直しを行う(回収の強化、給付金型奨学金、経済状況への柔軟な対応、独立行政法人のあり方を中心に)
 ▽高等学校等奨学金事業交付金→見直しを行う(高校実質無償化との関係を整理)
 ▽全国学力・体力テスト→予算要求の大幅縮減(抽出対象の絞込み)
 ▽義務教育費国庫負担金→見直しを行う(教員の調査・報告義務の削減、国と地方のあり方の抜本的整理)など。

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