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平成21年8月 第2369号(8月5日)

麻生総理総裁囲み教育懇談会開く
  全私連各団体ほか教育関連4団体が出席
  幼児教育から高等教育まで
  「安全安心社会実現めざし共に努力を」

 去る8月4日、全私学連合(白井克彦代表)は、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、麻生太郎内閣総理大臣・自民党総裁を囲んで教育懇談会を開催した。衆院選に向けての遊説等、多忙の中、私学団体の教育に対する熱い思いに応えての出席となった。「私学の砦」とも言うべき私学会館に足を運んだ総理は、これまでいない。懇談では、大学から幼稚園及び他の団体等の出席者から活発な意見・要請等が出され、麻生総理からは幼児教育から高等教育まで、多岐にわたる教育の課題についての考え方が述べられた。最後に大沼 淳日本私立大学団体連合会副会長が「まとめ」と謝意を述べてお開きとなった。

 開会に当たり、同連合会の小出秀文事務局長から開催の主旨等が説明され、さっそく懇談に移った。
 始めに麻生総理が挨拶とともに、「これまでの取組の中での最大の課題は景気対策であった」と述べ、「安心社会実現を目指さなければならない」と強調した。地方と都市部の較差で地方を疲弊させたこと、そして、弱者を更に弱くしてしまうような行き過ぎた市場経済のマイナス面を振り返り、安心して生活できるようにしたいと語った。
 その一環として、教育面では、「幼児教育費を段階的に軽減し、3年目から無償化すること」「新しい教育基本法のもとで、義務教育の水準を上げるべくOECD諸国並みの公財政支出を確保すること」「高校生や大学生のいる家計の負担軽減のため就学援助制度や給付型奨学金制度を創設すること」、併せて私学支援のための税制改正を行い、建学の精神に基づいた個性溢れる豊かな教育を支援していきたい、などとの考えを示した。
 次に、各団体等が意見・要望等を順次述べた。
 ▽日本私立大学団体連合会(白井克彦会長)=私立学校にはご理解をいただいている。安全安心社会の実現を目指す現実的なご指導を今後ともお願いしたい。
 ▽日本私立中学高等学校連合会(吉田 晋会長)=公私間の格差を是正し、安心して教育が受けられる社会の実現を願っている。
 ▽日本私立小学校連合会(平野吉三会長)=教育費負担の大きいことが少子化の一因とも言える。少子化対策が重要と思う。
 ▽全日本私立幼稚園連合会(吉田敬岳会長)=幼児教育の無償化が掲げられた。135万人の父母と共に見守っていきたい。
 引き続き、関連団体からの意見・要請が述べられた。
 ▽全日本教職員連盟(久保井規文委員長)=「美しい日本人の心」を育むため、伝統・文化の尊重を訴えている。日本の将来を担う人材確保の観点から、更なるリーダーシップを発揮していただきたい。
 ▽全国専修学校各種学校総連合会(川越宏樹副会長)=現在、中教審のキャリア教育・職業教育特別部会でキャリア教育の在り方が議論されている。ニートやフリーター問題の解決の糸口とするためにも、後押しをお願いしたい。
 ▽全国教育管理職員団体協議会(田中隆夫会長)=我々は校長・副校長・教頭で構成する団体である。近年はモンスター・ペアレンツ等の子育てのしにくい状況が増えている。社会全体で子どもを育てる環境づくりを訴えていきたい。
 ▽全国教育問題協議会(中尾建三理事長)=政策選択、政権選択とか言われているが、我々は「教育選択」ととらえている。どんな教育の在り方がいいのか、教育基本法の理念の具体化に大いに注目している。
 各団体からの意見・要請の後、日本私立大学団体連合会の大沼 淳副会長が、「まとめ」の言葉として、「私学等の意見を直接お聞きいただき、大変ありがたく思います。我々私学は、ノーブレス・オブリージ(社会的な立場にある者はその責任を果たすこと)、そして、惻隠の情(弱者の立場を理解して同情する)の考え方のもとに国公立とは違った今日の地位を築いています。これからは、総理・総裁のお言葉にもありましたように、安全安心社会の実現のため、共に努力していきたいと思います」と締めくくった。
 最後に、各団体からの意見・要請に応えて麻生総理・総裁は、「今日は、いろいろなご意見を伺った。皆さんの貴重な声を踏まえて今後とも日本の子どもたちのために、しっかりと対応していきたい」と力強く述べて会は終了した。

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