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平成21年5月 第2360号(5月27日)

科技政策研
  研究の国際戦略改善必要
  内外研究者へのインタビュー調査

 科学技術政策研究所は、第三期科学技術基本計画のフォローアップの一環として、12プロジェクトで構成される調査研究を科学技術振興調整費事業として担当しているが、このたび、その中の「内外研究者へのインタビュー調査」を実施してまとめた。概要は次の通り。

 国内研究者50名からは、キャリアに関する考えや、最近の質的変化、改善点などについて。海外のトップ研究者70名からは、日本の研究活動に対する評価や研究者や技術者のコンピテンシー、海外から見た最近の日本の変化について意見を収集した。特徴的な意見を紹介する。
 まず、高い評価を受けた点として、研究者ネットワーク形成のためのプロジェクト(グローバルCOEや若手国際研究拠点など)が継続されていることが挙げられた。また、多くのプロジェクトが長期的展望に立った上で実施できている点が挙げられた。プロジェクト研究継続機関が五年と長く、産業化に繋がりやすい。
 次に改善されつつある点として、@研究資金の使いやすさが向上している、A大型研究設備に継続的投資がされている、B研究者の研究成果のアピール力が向上していることなどが挙げられた。
 今後さらに改善が必要な点として、国際活動の戦略的推進の観点からは、@海外での研究経験を志向する者が減少、A外国人研究者が日本に来たがらない、B海外との交渉面で活躍できる科学技術戦略スペシャリスト不足などが挙げられた。
 科学技術振興の基盤強化の観点からは、@研究活動に関する事務支援の専任者が不足、A技術支援者などの雇用や拡充が必要、B大学における組織的マネジメントの向上が必要などが挙げられた。
 人材の育成・確保・活躍の促進の観点からは、@博士課程に進む学生の減少、Aポスドクの就職先不安の深刻化、B学部生・大学院生の基礎学力の低下など。科学技術の発展と絶えざるイノベーションの創出の観点から、@若手研究者が自立して研究できていない(リーダーへの従属性が強い)、Aプロジェクトの重複を避けすぎることによる研究弱体化への懸念、B大学等の研究成果を産業界へつなげる仕組みが弱いなどが挙げられた。

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