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平成21年3月 第2351号(3月4日)

学術分野の男女共同参画促進 日本学術会議が講演会

 去る三月二日、日本学術会議は、同会議講堂において、公開講演会「学術分野における男女共同参画促進のために」を開催した。男女共同参画社会基本法制定から十年。学術分野の女性研究者比率は一三%にすぎず、共同参画の状況は不十分な状況といえる。この度の講演会では、同会議が、平成十九年に国公私大を対象に行ったアンケート調査の分析結果や各機関の取組等が報告された。

 はじめに日本学術会議の金澤一郎会長が挨拶の中で「学会の女性会員の数は少ないが、学生会員で女性の割合は高い。若い世代に期待をしたい」等と学術分野における男女共同参画への期待を述べた。
 基調講演では、「学術に生きる女性たち―世界と日本の社会改革を展望する―」と題して、日本学術会議第一部会員の猪口邦子衆議院議員が、少子化に集約される社会矛盾等を提示し、各分野において女性の参画は着実に拡大しているものの、女性学長の割合(八・一%)、女性議員の割合(衆議院で九・四%、参議院で一八・二%)、女性研究者の割合等は依然として低く、一層の推進が必要であると述べた。
 続いて「学術分野における男女共同参画の実現を目指して―現状と課題―」と題して、板東久美子内閣府男女共同参画局長が登壇。女性が経済活動等に参加し意思決定できるかどうかを測るジェンダー・エンパワメント指数は五八位と先進国の中でも低いこと等を示した上で、更なるポジティブ・アクション(積極的改善措置)が重要であると述べた。
 また、日本学術会議第一部会員の江原由美子首都大学東京大学院教授が、平成十九年のアンケート調査結果について報告を行った。私立大学においては、女性教員比率は高いが、啓蒙活動や実態把握調査など、男女共同参画を推進するための活動の実施率は低く、国立大学との差は大きい。
 休憩を挟んで行われた講演では、共同参画にむけた取組みや女性研究者支援等について、大学・学術研究団体・(独)研究機関・民間企業の関係者らがそれぞれの取組等について述べた。大学関係からは、東京大学の辰野裕一理事、早稲田大学の白井克彦総長、日本女子大学の後藤祥子学長・理事長が講演を行った。
 東京大学は、平成二十年のU7(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)共同宣言を契機に、男女共同参画オフィス設置など、男女共同参画に取り組んできた。辰野理事は、今何が必要とされているのかを見極めて、実効あるポジティブ・アクションを展開していきたいと力強く述べた。
 また、白井総長は、同大の女性研究者支援について紹介した上で、「多様な施策が展開されているが、私立大が数値目標(女性研究者(自然科学系)二五%)を達成するのは非常に難しい」と述べた。
 その後行われたパネルディスカッションでは、「意識すべきはダイバーシティ(多様性)」など、多くの意見が出された。

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