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平成21年2月 第2350号(2月25日)

図書館に関する科目 13科目24単位以上に
  司書資格の充実へ報告書公表

 このほど、「これからの図書館の在り方検討協力者会議」では、司書となる資格を取得するために必要な、大学において履修すべき“図書館に関する科目”の改善を主な内容とする報告書を取りまとめて公表した。

 同報告書のポイントは、司書資格を得るために必要な、大学において履修すべき「図書館に関する科目」を、現行の一四科目二〇単位以上から一三科目二四単位以上に整理・拡充することのほか、司書講習の科目・単位数を大学における「図書館に関する科目」と同様の内容に改めることなどである。
 文部科学省は、同報告書の提言を受け、平成二十年度中に関係省令・告示の改正・整備を行い、平成二十一年四月一日から公布、平成二十四年四月一日施行の予定である。
 報告書の概要は次のとおりである。
 一、「図書館に関する科目」の基本的な考え方
 【基本的な考え方】
 ○ 図書館に関する科目は、図書館で勤務し専門的職員として図書館サービス等を行うための基礎的な知識・技術を修得するものであり、その後の図書館の業務経験や研修等を経て、さらに、知識・技術を深めるための基盤を形成する。
 【これからの養成内容に必要な新たな視点】
 ○ 「これからの図書館像」を実現するためには、図書館に期待される役割を理解し、社会の変化や住民のニーズに対応して図書館を改革していくことが必要である。このため、従来の養成内容に加えて、新たに次の観点から内容を見直す必要がある。
 ●今後の社会における図書館の役割と意義の理解、法制度、自治体行政の制度・政策に関する知識
 ●急速に進行する情報化に対応するための、図書館の業務やサービスの基礎となる情報技術の知識や技術
 ●レファレンスサービスの体制づくりと質的向上、課題解決支援サービスや発信型情報サービスに関する知識
 二、「図書館に関する科目」の各科目の考え方
 【科目の設定と体系】
 ○ 全国の大学、短期大学における開講単位数・授業時間数等の調査をもとに、現状を改善するために、現行の一四科目二〇単位以上を一三科目二四単位以上(必修科目各二単位一一科目、選択科目各一単位二科目以上)とした。
 ○ このうち、必修科目は、@基礎科目、A図書館サービスに関する科目、B図書館情報資源に関する科目の体系に分類し、講義科目と演習科目を設定。
 @基礎科目
 情報化の進展に対応した能力育成のための「図書館情報技術論」(二単位)を新設するとともに、これまでの「図書館経営論」に法制度・政策の内容を加えて「図書館制度・経営論」に改め、「生涯学習概論」とともに二単位に充実。
 A図書館サービスに関する科目
 子どもの読書活動の推進の観点から「児童サービス」を二単位に充実するとともに、これまでの「レファレンスサービス演習」と「情報検索演習」を発展的に統合して「情報サービス演習」を新設。
 B図書館情報資源に関する科目
 これまでの「図書館資料」に、ネットワーク上の情報資源を加え、これらを包括するものとして、新たに「図書館情報資源」を位置づけ、各科目の名称及び内容を更新。この中で「専門資料論」(一単位)を整理統合。
 ○ 選択科目は、必修科目で学んだ内容をより深く学習し、理解を深める観点から、選択科目を一単位七科目設け、これらの中から二科目二単位以上を選択。
 【授業時間数】
 ○ 図書館に関する演習科目については、一単位三〇時間で授業を行うところが多いことを踏まえ単位数を定めた。この趣旨を踏まえ、演習科目を一単位一五時間とし得る大学においても、必要な授業時間数及び単位数を確保して演習が行われるよう努めることが望まれる。
 三、司書の養成に関するその他の事項
 【今後の司書養成の更なる充実に向けて】
 ○ 授業の実施とともに、司書養成課程の管理、教育内容等に関する組織的な研修を着実に実施できる、図書館に関する領域を専門とする専任教員を十分に確保することが重要。
 ○ 大学及び司書講習における養成の水準を維持するための仕組みや基準について検討することが必要。
 ○ 司書養成を行っている大学間で、司書養成に関する情報交換・交流の推進等をはじめとする連携・協力の推進を期待。
 ○ 我が国においても、図書館の専門的職員の養成に関する大学院での教育体制を整備する方向で、関係者間での検討を期待。
 【司書の養成に関するその他の事項】
 ○ 平成二十年度全国一四大学で開講されている司書演習については、今後、同報告書に示した大学(略)における図書館に関する科目・単位数と同様に科目・単位数を改めることが適当である。
 ○ 司書・司書補講習で履修すべき科目の単位の修得に相当する学修について、今後、図書館での勤務経験をもって履修したものとみなす科目は図書館実習に限ることとし、修得したとみなす学修は大学や講習における科目の修了等を原則とすることが適当である。
 ○ 新たな図書館に関する科目・単位数の施行は文部科学省令の公布から三年程度の期間を置くことが適当である。
 ○ 司書演習を受講して司書資格を取得する要件にある「大学」卒業の対象を、短期大学を卒業した者と同等以上の学力があると認める者にも拡大することが適当である。

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