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平成21年2月 第2349号(2月18日)

[新刊紹介]
  なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか
  浦坂純子著

 おもろいタイトルに釣られて購入した。大阪弁まじり、若者に迎合しているかのような口吻は嫌味にもとれる。が、思いっきりのいい主張が中和させる。  「はじめに」で〈この本では、視線を少し先に、こころもち上げてみたらどう?と言いたい〉と書く。勉強、進学、仕事という側面から論じており、中高生、大学生、親たちに読んで欲しいという。  タイトルについては〈大卒は、就職に際して門前払いをされるリスクが低い、労働条件のいい仕事、職業に就きやすい、賃金が高い、の三つがあるから有利〉。変化球でないのがいい。  高校生や著者のいう「心許ない」大学生に対して、第三章「進路選択に向き合うとき」と第四章「大学入学準備講座」で、わかりやすく、合理的に助言している、とみられたが…。  あにはからんや〈受験だけの近視眼的な勉強法は得策ではない。満遍なく基礎学力を養っておいたほうがいい〉とし、〈自分で自分を伸ばしていける力を身につけさせてくれる大学を選べ〉とピシャリ。  結論は第五章の「本当に身につけるべき『チカラ』とは」。チカラとは、語学力のような具体的な力でなく、社会基礎力、地頭力など全てを含む力だそうだ。  一番伝えたかったのは〈何を学ぶかでなく、どう学ぶかを重視し、そのプロセスを着実に遂行できることが、社会人としての底力にもなり得る〉。  〈大学四年のとき、自分に「チカラ」が身についていないことを思い知り、打ちのめされた〉と「おわりに」で自身の体験を披露。説得力に加重がかかる。  著者は、同志社大学社会学部産業関係学科准教授。キャリアステージを拠点に分析、社会における適材適所の達成を研究している。  「なぜ『大学は出ておきなさい』と言われるのか

キャリアにつながる学び方」
浦坂純子著、ちくまプリマー新書
電話:048-651-0053
定価760円+税
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