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平成20年12月 第2342号(12月17日)

データと事実から改革せよ 教育改革事務部門向けセミナー開く

 私立大学情報教育協会(会長:戸高敏之同志社大学工学部教授)は、十一月二十八日、平成二十年度教育改革事務部門管理者会議を開催、一七〇名を超える参加者が集まった。対応すべき課題が山積する中、改革を進める職員に何が望まれるのか、情報化戦略の見直しも含め議論された。

 まず、近畿大学の宗像惠前副学長が、大学の教育改革戦略について事例を紹介した。
 「近畿大学では、平成十一年から学生の授業評価アンケートを始めた。集計結果を分析すると、例えば、授業での説明のていねいさと総合評価は相関が高い。学生が望む授業は説明がていねい、分かりやすい授業である。また、講義は演習などに比べて評価は低いことなどが分かってきた。
 データと事実を積み上げて解析し、何が問題か、何が重要かを伝えることが必要。データを開示することで、悪い授業の数は減少し、良い授業の数は増大した。FDの目的として、学生が授業が分かるようになり、自ら勉強したくなることが大事だ」と解説。
 最後に、「トップが変わらなければ、下は変わらない。しかし、改革はトップだけではできない。組織的な取り組みが必要だ」と締めくくった。
 続いて、立命館大学の本間政雄副総長から、立命館大学で取り組む職員の能力開発について解説があった。
 「職員をカリキュラムの専門家として育てる必要がある。学生がどう授業を受け止めているのかを知るには、教員だけでは限界がある。財務や人事が教育研究の現場に行って生の話を理解することが必要だ。
 職員は、まずは、データを集めて調査分析をして提案をすることが求められる。教員と対峙をして解決しなければならないときもある。教員に「無理」といわれたとき、どう解決するかを考えなければならない。その根本は、職員はパッションを持つこと。興味と関心を持っていくことが大切だ。
 立命館大学の幹部職員養成プログラムでは、三〇歳前後の若手職員を対象に行なっている。学内外の様々な課題を講義した後、各自でテーマを持って政策立案を行う。上司と一緒に課題を提起して論文にまとめ、翌年度から実行する。年間三〇コマの統計解析の授業を受けるし、先進大学の海外調査にも行く。こうした研修を通して職員の能力開発を行なっている」と述べた。
 また、「教育の質の向上をテーマにしている職員はいないが、そういう課題に取り組んで欲しいとも思っている」と付け加えた。
 休憩の後、同協会の井端正臣事務局長より、同協会の「授業改善調査」に基づき、教育現場での問題点や今後の課題などについて、授業でのIT使用状況と絡めながら指摘された。
 関連情報として、「人文・社会・理工系の分野別「学士力」の提言」や「二十一年度より大幅に変更する情報関係補助金の内容」、「十九年度大学・短期大学における情報投資の実態」などについて事務局より説明があった。
 その後、情報交換会が行われ、閉会となった。

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