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平成20年12月 第2341号(12月3日)

学びは協調作業へ IT活用 FDシンポ開く

 法政大学のFD推進センターでは、十一月二十九日、市ヶ谷キャンパスにおいて、第六回FDシンポジウムを開催した。テーマは、「大学のIT戦略とFD活動の展開〜新たなe-Learningと学習環境のデザイン」。
 今日、ICTを重視した教育・学習の質的変革が求められているが、このたびは、今後の大学のIT戦略とFD活動のあり方をめぐり三研究者の発表・議論が行われた。
 まず、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の福原美三教授が講演。福原教授は、現在世界的に試みが進められているオープンコースウェア(OCW)について説明した。OCWは、簡単に言えば、講義ノートをネット上で公開すること。世界中のあらゆる人が講義を閲覧することができる。
 わが国では、〇五年にOCWのコンソーシアムが発足。慶應義塾大、東京大、明治大、東京工業大、女子栄養大など二一大学(企業含め三七団体)が加盟し、およそ一〇〇〇コースを公開。最近では、ポッドキャストに講義動画がダウンロードできるようになったため、アクセス数が伸びた。
 福原教授は、OCWの意義と効果について、「講義の質的な改善につなげやすい」と主張した。
 続いて、東京大学大学総合教育研究センターの重田勝介特任助教が、東京大学のICT活用の学習環境デザインについて発表。@教育リソース、A教育インフラ、B教室環境についてそれぞれ解説した。
 特に教育インフラについて、最近の学生はPCよりケータイを利用するので、メールマガジンや携帯サイトの充実を図っている。
 最後に「学びは、個人作業から、学習者同士が協調し一緒に伸びていくパラダイムに移行しつつある」との考えを示した。
 法政大学情報メディア教育研究センターの常盤祐司教授からは、同大学のICTを活用したFDの試みが紹介された。授業支援システムの導入、キャンパス間での遠隔講義の導入などを経て、最近の取り組みとして、双方向授業を支援する「クリッカー」などを紹介。ICTを活用した講義支援にはシステムだけでなく組織(人)が必要であることなどを力説した。
 続いて、三氏が会場からの質疑に応答。協力する先生を集めるのは大変との質問に「まずトップの了解を得なければならない。その後協力的な教員を巻き込む。その教員から横展開してもらう」などと述べた。
 その後、法政大学FD推進センターの鈴木 靖教授と廣瀬克哉教授が加わり、FDとITの役割について熱心な議論が行なわれた。

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