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平成20年11月 第2338号(11月12日)

設置審査の現状を危惧 設置審基準の明確化等求める

 中央教育審議会大学分科会(安西祐一郎分科会長)は、去る十月二十九日、文科省講堂で第七一回会合を開き、質保証の観点から、近年特に問題点が指摘されている「設置基準と設置認可の在り方」について、大学設置・学校法人審議会の納谷廣美大学設置分科会長代理が出席して「設置基準と設置認可の現状と課題」について意見を述べた。
 納谷氏は、専門職大学院制度の創設や株式会社の参入など、申請者・申請内容が多様化し「規制緩和で設置認可が容易になった」との思惑から、準備不足の申請が増加していること、設置基準の準則化によって審査内規が廃止され、定量的基準もなくなったため、大学人の常識では不適切と思える申請についても、設置基準に具体性がないため、「不可」にする明確な根拠を示し難い状況があること、さらに、届出制度の導入により、本来の届出制度の趣旨を逸脱するようなものまで現われていることなど、設置審査をめぐる問題点を憂えた。
 併せて、同審議会学校法人分科会の黒田壽二前分科会長からも「継続的な運営、社会からの信頼性、大学の自主性・自律性に問題のある学校法人も散見されており、学校経営に民間参入を認めた唯一の制度として確立してきた「学校法人制度」の根幹を揺るがしかねない。各設置者の強い自覚、自省を求めたい」との意見も述べられた。
 各委員からは、「設置認可対応の認証評価がない」「特区設置の大学について地方自治体が大学の実態をよく把握していないのではないか」「専門職大学院も問題が多いのでは」などの意見が出された。
 安西分科会長は「設置審査には構造的な改革をきちんと行わない限り、各委員の不信感はぬぐえない。新しい形で出発できるようにしたい」と強調した。
 同日の会合では、「学士課程教育の構築」の答申案も示され、「審議のまとめ」からの構成の変更などが説明され、了承された。この答申案は、次の中教審総会で審議・答申となる予定である。

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