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平成20年10月 第2335号(10月15日)

教育行政をめぐる現代的課題
  日仏教育政策セミナー

 今年は、フランスと日本の交流一五〇周年にあたり、各地でさまざまな催し物が企画されている。
 去る十月九日、国立教育政策研究所(近藤信司所長)は、文部科学省第二講堂において、日仏教育セミナー「教育行政をめぐる現代的課題にどう取り組むか―フランスと日本からの問いかけ―」を開催した。
 セミナーでは、教育行政が抱える次の三つの課題について両国の行政経験者が述べた。
 @これからの教育の方向性を探る:クリスチャン・フォレスティエ国立工芸院(CNAM)院長、佐藤禎一東京国立博物館長(文部科学省顧問)
 A地方分権化の動きと教育行政の課題:マルク・グジョン国民教育省総視学官、前川喜平文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育局担当)
 B教育の国際化と研究所の役割:アルベール・プレヴォ国民教育省総視学官、近藤信司国立教育政策研究所長
 フォレスティエ氏は、「政治は成果をすぐに求められるが、教育は一世代かけての成果である」と述べ、フランスにおいては、高等教育修了者が少ないなどの現状を述べた。また、広範囲の学校で行われている「落第」という習慣、エリート層の大半が「学校が伝授すべきなのは知識よりも能力である」ことに反対の構えであるなど、具体的な課題について述べた。
 また、前川氏は、小泉内閣における構造改革から今日までの教育行政の沿革を述べ、株式会社立学校制度の全国化に文科省は慎重な姿勢をとっていることなどを事例に、行政の改革と教育改革とは調和的に進むことが望ましいと述べた。
 続いて行われた質疑応答・討論では、活発な意見交換が行われ、それぞれの国の教育行政から学ぼうとする積極的な姿勢が伺えた。

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