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平成20年8月 第2326号(8月6日)

時代が求める女性教員像 女子大連合によるプログラム開発

 東京家政大学(木元幸一学長)は、去る七月十九日に、同大板橋キャンパスの三木ホールにて、第四回専門職大学院等教育推進プログラム採択記念シンポジウムを開催した。
 同大学、大妻女子大学、実践女子大学、昭和女子大学、日本女子大学は、五女子大学共同による教職専門職大学院のモデル策定を目的としたプログラムに取り組んでいる。同プログラムは「女性中核教員養成女子大学連合モデル」として、平成十九年度大学改革推進事業専門職大学院等推進プログラムに採択されており、日本初の女性教員を対象とした魅力ある大学院の姿を提案する。
 まず、同大学の木元学長が「共同で大学院を設置すると声をあげた当初は暗中模索だったが、現在では良い具合に追い風になってきている。社会が女性の力を必要とする時代であり、同プログラムは全国で活躍している女性教員の力になると確信している。共同での教職大学院設置に向けてのご理解とご支援をお願いしたい」と挨拶を述べた。
 基調講演は「人生一○○年社会と女性教員」と題し、同大名誉教授の樋口恵子氏(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)が、女性の特質を活かした教員の役割と可能性からその社会的使命を提示した。前例のない長寿社会の日本にあって、平均寿命の長い女性こそ、ライフステージに応じた「再チャレンジ」の場が必要と述べた。また、女子教員の役割と可能性について、言語的能力・コミュニケーション能力に自信を持ち、女性の持つケアの役割を活用すべき等といったことを述べた。
 続く発題講演では、東京学芸大学教職大学院教授の近藤精一氏が「学校教育における現状と課題」と題した講演を行った。教員の大量退職と、小学校教員の大量採用等による学校の教育力の低下について、アンバランスな年齢構成から生じる問題等を提起した。人材育成のための取組については、学部段階で実践的な指導への転換を図ることや、教職大学院の活用等を提言した。
 シンポジウムは「スクールカウンセリングの明日」と題して、女性が八割を占めるカウンセリング業務からみた教育相談にスポットを当て、はじめに様々な立場からパネリストが講演を行った。同大学大学院非常勤講師のバーンズ亀山静子氏が、「米国のスクールカウンセリング」と題して、米国の教育の現状からスクールカウンセリングの実状に至るまでを解説した。慶應義塾大学教授の伊藤美奈子氏は、「日本のスクールカウンセリングの現状と課題」と題して、調査研究委託事業から制度化された現状までを解説し、対象も多様化し、教師とは異なる多様な人材が必要であると述べた。熊谷市教育委員会指導主事の水庭桂子氏は、熊谷市の学校教育相談の事例を報告し、同事業における教育委員会のはたらきかけの実際を紹介した。同大学准教授の三浦正江氏は、「スクールカウンセラーを体験して」と題して、実際にスクールカウンセラーを体験した立場から実状を述べるとともに、教員との協働のモデルを提言した。後半は、会場からの質疑等を交えて意見交換が行われた。スクールカウンセリングの今後の在り方について、専門性を高めることにより、定着を図っていくべきことを前提に、「米国の事例を、成功も失敗も参考にしていただきたい」、「サポートする組織体制づくりが必要」などといった意見が出された。

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