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平成20年8月 第2326号(8月6日)

評価充実協議会を開く

 (財)日本高等教育評価機構(佐藤登志郎理事長)は、去る七月二十八日、東京・文京区の東京ガーデンパレスで、同機構の会員校等の代表者約二〇〇名が出席して、平成二十年度評価充実協議会を開催した。
 佐藤理事長及び原野幸康専務理事・事務局長の挨拶の後、協議に移った。
 はじめに、「同機構の活動状況及び今後の課題等」について、伊藤敏弘評価事業部長が報告を行った。
 ●認証評価大学数の推移について=七月現在の会員数は二八八大学であり、評価の実施校は平成十七年度より三年間で五八大学、同二十年度は五八大学で実施中。また、同二十一年度、二十二年度の評価申請数はそれぞれ八一大学、七九大学。
 ●主な認証評価活動について=平成十九年度の三八大学の認証評価結果として三七大学を認定し、一大学を保留としたことのほか、今年度実施中の認証評価の詳細な説明、併せて、大学評価セミナー、自己評価担当者説明会、評価員候補者セミナー、評価員実務研究会などの活動を報告した。
 さらに、大学評価判定委員会、短期大学認証評価検討委員会、専門職大学院の評価基準等検討委員会等の活動についても報告した。
 最後に、今後の検討事項として、評価システムの改善、分野別評価への取組、評価実施大学数の偏り等への対応などを挙げた。
 次に講演に入り、「高等教育の課題―質の保証と評価―」と題して、清成忠男法政大学学事顧問・名誉教授が、“質の向上のための評価の在り方”を語った。
 同氏は、学力低下の状況として、四九九校の国公私立大学の調査から、各大学での学力のバラツキが大きくなり、全大学の約五〇%に及んでいるとし、まさに質の保証の必要性が叫ばれており、そのためには教員の教育力、そして、その強化を図るFDの全学的取組と特にガバナンスの重要性や第三者評価の果たす役割を強調した。
 諸外国の動向についてはアメリカのピア・レビューによる質の向上、ドイツのプログラム評価及びボローニャ・プロセス等を解説した上で、質保証機関の国際ネットワークであるINQAAHEの評価ガイドラインにも言及した。
 最後に、「評価は質の向上が主目的であり、長所を評価することである」等と述べ、そのための評価力の強化が重要と力説した。
 引き続いて、「私学の建学の精神と母校愛」と題して、鳥居泰彦日本私立学校振興・共済事業団理事長が講演した。
 同氏は、かつて大学審議会や中央教育審議会等の会長等として、評価問題に関わってきた経緯から、評価の在り方について語った。
 「今日の大学の第三者評価は、その意義が社会的に十分なコンセンサスが得られていないと、マスメディア等による“アラ探し”的な評価による風評被害等を被ることもあり得る。単に数字で表わされた評価だけに目を奪われるのではなく、教育の中身や質などを重視することが大事である」などと述べ、そのことは、大学が創設の理念をどう守り、どう伝えているかが問題になるとして、“建学の精神と母校愛”をテーマに@教育の基本は建学の精神を理解し共感すること、母校愛を抱いて卒業させること、A志を盛り込んだ校是・校訓・校歌、B卒業式の贈る言葉、などの重みについて語った。
 最後に、学生の心に響くものを与えることは大学の責任であり、学生が使命感を胸に卒業し、未来を担う人材となっていくものであると締めくくった。

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