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平成20年7月 第2325号(7月23日)

視覚障がい者に睛眼者が挑む? 音で楽しむ新しいゲームスタイル
  大阪電気通信大学

 大阪電気通信大学(都倉信樹学長)医療福祉工学部医療福祉工学科の新川研究室では、二〇〇五年から視覚障がい者と睛眼者が同条件で遊戯できるテーブルゲームシステムを研究してきた。
 従前より、視覚障がい者の遊戯支援のため点字を利用するものはあった。しかし、点字認識可能な視覚障がい者は一割程度と言われ、対象者全体をカバーするのは難しい。また、健常者と障がい者の交流促進にもあまり適さない。
 このたびの方法は、カードの絵柄情報を音声情報に置き換えるもので、視覚情報はゲームに影響を及ぼさない。これによって、視覚障がい者と睛眼者とが同じテーブルで楽しい時間を共有出来る。
 まず無印刷の白色カードにICタグを埋め込んだトランプゲームを開発した。ICタグとシステムが音声情報としてカード情報を提供する。
 次に、薄大なカードをコマ型小片に置き換えた。薄いカードは時として机から取り上げづらい。多くの人にとって“掴み易い形”と“サイズ”を検討した。媒体はカードでなくても小片で良かったのである。そして、ストレス無く楽しめる小片型のカードゲーム=kikimimi(キキミミ)が誕生した。
 この新しいゲームは“利用者自身がゲームを考案する”という可能性も創出する。『ハートのA』等の情報を『ネコ』の鳴き声等に変えて動物ゲームに、『ピーナッツ』等に変えて食物分類ゲームに。応用は育脳教育・語学教育にも及ぶ。
 新川准教授は、「ゲーム大会開催も目指したい。高得点を競う大会に新作ゲームのコンテスト。チャンピオンの視覚障がい者に耳自慢の睛眼者が挑む。壁や隔たりの無い社会環境の一つだ」とkikimimiの可能性を語る。
 実現には企業等による量産・流通体制も不可欠。研究上の概念モデルを、充分“枯れた”技術で実装した。大学の成果は産業活用しづらいこともあるが、新川教授らはここにも重点を置いた。同大学は、科学技術を以って世の中に柔らかい光を当てたいと考えている。

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