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平成20年5月 第2316号 (5月21日)

[新刊紹介]
 大学の英語教育を変える コミュニケーション力向上への実践指針
  山地弘起 編著

 韓国の大学生は、三ヶ国語話せるのが珍しくないとか。母国語と英語以外に、もうひとつ。それに引き替え、日本の大学生は…。
 そんな嘆きを吹き飛ばす力になるような本である。〈仕事や専門で使える英語コミュニケーション力を学生がもてるようにするにはどうすればよいのか〉と真正面から切り込む。
 ここ五、六年の政策的な英語教育強化の動きは急務。大学でも〇四、〇五年度の文科省の「現代GP」で〈英語が使える人材養成に支援を行ってきたが、実践的なものは検討されてこなかった〉と鳥瞰する。
 この本に通奏低音のように流れるのは〈英語教育から英語コミュニケーション教育への転換である〉と編者は述べ、こう続ける。
 〈英語は異文化間の代表的な媒介言語。多様な英語話者と効果的な意思疎通を図っていくには、“四技能”を超えた全人的なコミュニケーション力の向上が不可欠である〉。
 二部九章から成る。一章にある〈元来ことばを教えるということは思考、つまり考え方を教えることである〉、二章の〈英語の習得には英語そのものや英語を話す相手にどのように向き合うかが重要〉という言葉は、それぞれ重たい。
 四章のネット上のリソースとICTツールの活用や七章以下のICUなど三大学の英語教育の事例紹介は「現代GP」と異なり?かなり実践的だ。
 編者は東大法学部卒業後、同大学院教育研究科博士課程を出たとある。培われた複眼思考が生きる。大学英語教育改革の狼煙は燎原の火となるか。

 定価3300円(税別)
 発行 玉川大学出版部
 電話042−739−8935
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