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平成20年4月 第2313号 (4月23日)

留学生30万人計画骨子案まとまる 大学分科会留学生特別委員会

 中央教育審議会大学分科会の留学生特別委員会(座長=木村 孟大学評価・学位授与機構長)は、去る四月十四日、文部科学省内の特別会議室において、「今後の留学生の在り方」を議題に審議を行った。平成二十年二月二十二日に第一回の審議が行われ、今回で四回目となる同委員会では、「留学生三〇万人計画」の骨子案とともに、戦略的な施策が話し合われた。

 同委員会では、はじめに、前回の委員会での審議や他省庁との折衝をもとに作成した「『留学生三〇万人計画』の骨子の取りまとめの考え方(案)」について、前回からの変更点や追加点について文部科学省より説明があった。
 審議では、次の資料が添付された。「米国の高等教育機関の外国語コースの学生数について」、「日本留学フェア等の開催状況」、「在学段階別/入進学直前機関別留学生数(正規、非正規、専門科・別科)」、「大学における外国人教員数」、「日本人学生の米国への留学生が減少していること及び学部留学生の割合が高いことについての分析」など。
 そのうち資料「在学段階別/入進学直前機関別留学生数」により、海外から来る場合、入進学直前機関としては大学・大学院の割合が高いのに対し、国内からの場合は日本語教育機関の割合が高いことが示された。
 「『留学生三〇万人計画』の骨子の取りまとめの考え方」の中で注目すべき点は、同計画の意義に新たに「我が国と諸外国との間の人的ネットワークの形成により、相互理解と友好関係が深化し、世界の安定と平和に資する」が加わったほか、「留学生にとって魅力ある社会―日本の社会のグローバル化―」の項目が具体的に明文化された点である。その内容としては、@将来の魅力あるキャリアのための就職支援・雇用の促進(留学生の日本企業への就職の拡大)、A地域・企業等のコンソーシアムによる交流支援(地域を核にした学生交流事業、企業寄付による奨学金など)である。
 また、「留学生を引き付けるような魅力ある大学づくりと受け入れ体制」の項目に、「日本留学に関する情報発信機能の強化」が追加された。これについては、各大学がホームページ等で情報発信を行っているが、情報受信者に適切な量と質の情報が届いているのか見直す必要があるとの意見が委員からあった。
 そのほか委員からは、三〇万人計画に向けた戦略的な施策について発言が相次いだ。具体的には、個々の大学が安心して留学生を受け入れられる仕組みの整備、日本人各層との交流、日本語教育機関に対するより一層の支援、私費留学生の輩出数の割合に沿った国別の対応等の提案があった。
 また、留学希望者の裾野を広げるために、国内外における日本語教育だけでなく日本料理やファッション等のサブカルチャーのPR実施により、日本への興味の動機付けが重要であることなどが話し合われた。
 さらに、日本の国益に適うような戦略的な視点だけでなく、援助もしくは協調の戦略的視点も重要であることが確認された。また、留学生が入国する際の管理及び、受け入れ基準の明確化の徹底が必要であるとの意見もあった。
 最後に、木村座長は今回の審議を踏まえ、米国のシステム等を参考に今回の「取りまとめの考え方(案)」を整理した上で、今後は各論の審議に移っていきたいと述べた。

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