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平成20年4月 第2312号 (4月16日)

[新刊紹介]
  「大学新入生の数学」 東京電機大学教授 田澤義彦 著

 大学生の学力低下が社会問題化している。経済専門誌の「ダイヤモンド」(〇八.四.五)の「学力 大不安」という特大号でも、次のように書いている。
 〈東京のある大学で入学者のレベルを測るため数学の問題を作成。実際にテストを実施したところ正答率は六〇%。ためしに中学受験をひかえた小学生にやらせたところ九〇%だった〉
 さらに、同誌は〈経済学部では数学が必要だが、私立大学の経済学部では入学試験に数学を必須科目にしてこなかった。これは経済学部の学生を不幸にする〉とも指摘していた。
 前置きが長くなったが、本書は〈理工系に進学する学生でも近年は数学の力が十分でない傾向がある〉と感じた著者が〈中学校の数学を理解していれば予備知識がなくても学習できるようにした〉親切な本である。
 著者は東京電機大学で三〇年間数学教育に携わるベテラン。理工系学生の間でも熱心でわかりやすい指導は好評だ。
 刊行の目的も優しい。新入生が数学を学ぶ際、高校で学んだ数学と大学の数学が滑らかに繋がるよう、橋渡しすること。高校生や文系の大学生にも理解できるように配慮してある。
 秀逸なのはインターネットを利用して本書の内容を解説した動画が見られること。紙面だけでは、伝わってこない数学の概念がアニメなどを通して学べる。
 〈いつでも、どこでも、自分のペースで学習できる〉と“宣伝”しているように痒いところに手の届く本。そこまでやるか、という気もするが、大学生の学力低下という現実を前にしては、そうも言っていられないようだ。

「大学新入生の数学」
 定価(2,500円+税)
 東京電機大学出版局
 TEL03-5280-3433

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