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平成20年4月 第2312号 (4月16日)

「戦略的大学連携」説明会開く 地域活性化等めざし30億円支援

 文部科学省は、平成二十年度から、国公私立大学間の積極的な連携を推進し、各大学における教育研究資源を有効に活用し、当該地域の知の拠点として、教育研究水準の高度化、個性・特色の明確化及び大学運営基盤の強化等を図ることを目的とした「戦略的大学連携支援事業」を実施する。去る四月九日には、東京・港区のメルパルク東京において、同事業の公募要領等の説明会が開かれた。また、併せて、複数大学が共同で教育課程を実施し、連名で学位授与を可能とする「共同学部・共同大学院」(仮称)制度の創設についての説明も行われた。
 開会の挨拶で高等教育局大学振興課の井上卓己大学改革推進室長は、「一八歳人口の減少に伴い、地方の私立大学は一層の厳しい状況にある。また、基盤的経費である経常費補助金も伸び悩んでいる。一方、国公私立大を通じた各種事業に対する支援は増えており、本事業にも積極的に応募していただきたい。地域貢献に取り組んでいる多くの私学等からの申請を期待している」と語った。
 公募要領の詳細については、同課の奥井雅博改革支援第二係長が説明した。
 (1)募集対象=国公私立大学、短期大学及び高等専門学校(以下、「大学等」)が連携して行う取組。
 (2)申請者・申請件数・申請内容=@事業者は大学の設置者(国立大学法人、公立大学法人、学校法人又は地方公共団体)、申請者は大学等の学長(高等専門学校では校長、以下、「学長等」)であり、申請は連携する大学等から一校が代表(代表校)として行う。また地域ニーズを十分に踏まえた事業とすることから、大学等以外に地方自治体及び経済団体等を連携機関として含めることもできる。A代表校、連携校に関わらず一つの大学等は、(ア)総合的連携型、(イ)教育研究高度化型に合わせて二件まで申請できるが、(ア)に二件申請することはできない。
 (ア)総合的連携型には、次の二つがある。
 【地元型】主として、連携を行う大学等の所在地が同一の市町村・特別区又は隣接する単市町村・特別区内での連携取組
 【広域型】主として、連携する大学等の所在地が複数の市町村・特別区、都道府県・政令指定都市レベル、「地元型」に該当しない市町村・特別区内
 (イ)教育研究高度化型は、先進的な教育プログラムの共同開発、将来的な複数大学の共同による学位授与や連合大学院等の設置など、教育研究水準の高度化を図る連携取組。
 申請に当っては、▽当該大学等において、文科省の他のプログラムで選定または申請予定の取組等と同一又は類似の取組については申請できない。▽申請書と併せて「大学間連携戦略」(別定)を策定して提出する。▽事業開始後、概ね一〇年程度を見通した将来目標、組織再編計画、大学の目指すべき方向性なども具体的に記載する。▽関係自治体等との連携協力を図る際は、相互の役割を確認する。▽同事業に選定された場合には、大学間連携戦略を共同で実施する旨の協定を速やかに締結し、代表校の学長等から文科大臣宛に提出すること。
 (3)事業規模=申請は補助事業上限額の枠内で提出する。事業規模が補助金基準額を超える場合、上限額との差額は自己負担。申請区分ごとの上限額(年間)、基準額(年間)は次のとおり。
 総合的連携型(地元型)…上限額一億円・基準額五〇〇〇万円、同(広域型)…上限額二億円・基準額一億円、教育研究高度化型…上限額二億円・基準額一億円(額はすべて以内)
 (4)選定件数=全体で四〇件程度とするが、申請の状況等により調整する。
 そのほか、申請期間(六月十日〜十一日の午前一〇時から正午、午後一時から午後五時)等について説明した。
 なお、同事業の連携取組として、次のようなテーマの例示が挙げられている。
 ▽大学連携による教育プログラム等の開発、教育力の向上(b教養教育の連携実施、学際分野の専門教育の連携実施、b単位互換等を活用した主専攻・副専攻プログラムの構築、b組織的なFD研修やSD研修、教育評価法の共同開発、b初年次教育、補習授業の連携実施、障害者学生等の受入れ手法の共有化など)
 ▽地域の教育研究資源の結集(b知的財産管理、技術移転事業、インキュベーション施設などの産学官連携事業の共同実施、b留学生・外国人研究者等の共同受入れ体制の構築、海外拠点の整備などの国際交流事業の共同実施、b入試広報、高校生向けセミナー開催など高大連携事業の共同実施など)
 ▽教育研究の高度化(b将来的な複数大学の共同による学位授与に向けた取組など、大学等が連携した学際・複合・新領域分野の教育研究の展開、b国内外の企業、地方自治体等との連携による高度専門職業人の育成、b専門職大学院等における複数大学が連携した共通・専門教育の先進的なプログラムの開発)など。

 共同学部・共同大学院制度

 次に、「共同学部・共同大学院(仮称)制度」について、同課の後藤教至専門官が説明した。  この新制度は、“骨太の方針二〇〇七”等を踏まえ、地域の国公私立大学・短期大学(以下、「大学」)が連携して教育研究資源を最大限に活用し、地域の活性化、多様で特色ある教育研究を推進するための仕組みを構築するもので、国公私を通じて、複数大学が共同で教育課程を実施し、連名で学位授与ができる仕組みを創設するものである。  その概要は、@大学が他の大学と共同で教育課程(共同教育課程)を編成し、実施する。A共同教育課程の修了者には構成大学の連名による学位を授与する。B学部、研究科等の組織は各大学に置く。  なお、このために大学設置基準(省令)等を改正し(平成二十年夏頃)、必要教員数等の算定の特例を設ける。  この新制度は、平成二十一年に設置許可の手続きを行い、平成二十二年からの設置となる。

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