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平成20年4月 第2310号 (4月2日)

東京私立大教連が家計調査
  受験から入学まで211万8826円 9割が負担感「重い」

 東京地区私立大学教職員組合連合(委員長・岡野内正法政大学教授)はこのほど、二〇〇七年度「私立大学新入生の家計負担調査」の結果を発表した。調査は二〇〇七年五月〜六月にかけて一都四県(東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木)にある一七大学・短大に入学した新入生の家庭(保護者・父母)を対象に行われた。同調査のポイントは次のとおり(カッコ内は対前年度比)。
 一、受験から入学までの費用
 受験から入学までの費用は、自宅外通学者は二一一万八八二六円で前年度比二万七一九四円(マイナス一・二%)減額、自宅通学者は一四八万九七二六円で前年度比一四九四円(マイナス〇・一%)減額した。
 その内訳は、自宅外通学者で受験費用(マイナス三七〇〇円)、家賃(マイナス九〇〇円)、敷金・礼金(マイナス三五〇〇円)、生活用品費(マイナス九五〇〇円)、初年度納付金(マイナス九五九四円)で、全ての費用で減額した。
 初年度納付金は一二九万八七二六円。受験から入学までの費用全体に占める初年度納付金の割合は、自宅外通学者では六一・三%(プラス〇・二%)、自宅通学者では八七・二%(マイナス〇・一%)で、学費負担が依然として重い。
 二、入学の年にかかる費用
 自宅外通学者の入学の年にかかる費用は、三〇二万一九二六円で、前年と比べ五万四九四円(マイナス一・六%)減額した。また、父母・学生の裁量でいちばん出費をおさえることができる費目である、仕送り額(四月〜一二月)は九〇万三一〇〇円(マイナス二万三三〇〇円)で、前年に比べ減額幅(06年、マイナス三万一六〇〇円)は縮まったとはいえ、引き続き減少している。費用の内訳では、受験費用(マイナス三七〇〇円)、住居費(マイナス一万三九〇〇円)、初年度納付金(マイナス九五九四円)などいずれも減額した。
 自宅外通学世帯の税込収入九六〇万九〇〇〇円に占める入学の年にかかる費用の割合は、三一・四%と三割を超え、依然として家計に占める負担の大きさを示している。
 世帯の税込年収は、全体平均では九四六万七〇〇〇円(プラス〇・三%)、住居別では自宅外通学者で九六〇万九〇〇〇円(プラス一・四%)、自宅通学者で九三四万三〇〇〇円(マイナス〇・八%)となった。世帯の税込年収の推移をみると、ここ数年の景気伸長や上場企業などの収益増加が家計へ十分に反映されず、二〇〇二年度以降は一〇〇〇万円を割り続けている。有所得者数の平均は一・七人である。
 三、仕送り額
 入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむ五月が一一万五九〇〇円、出費が落ちつく六月が九万五九〇〇円といずれも減少した。六月の仕送り額は、前年の九万九二〇〇円をさらに下回り過去最低額となった。六月の仕送り額を過去最高だった一九九四年の一二万四九〇〇円と比較すると、一三年間に二割以上減少している。
 家賃の平均は五万九二〇〇円で、仕送り額(六月)九万五九〇〇円に占める家賃は六一・七%となり、過去最高の割合となった。
 仕送り額から家賃をのぞいた生活費は一二年連続で減少し、調査開始(一九八六年度)以来、最低の三万六七〇〇円となった。この額から一日あたりの生活費を算出すると、一二二三円(三万六七〇〇÷三〇日)で、最低額を更新しつづけている。
 四、奨学金
 日本学生支援機構(旧日本育英会)を含む奨学金の希望者は全体の六三・二%を占め、二〇〇〇年代に入ってから六割の水準にある。希望者のうち、申請したが初めて六割を越えた。
 奨学金を「希望する」と「申請した」が、調査以来、過去最高になった(「希望」は一九九二年から、「申請」は一九八五年から調査を実施)。
 希望者のうち、「実際に申請した」という割合は、調査開始(一九八六年度)以来漸増を続け、本年は六一・〇%と六割を超えた。住居別では、自宅外通学者で七割に近づき、自宅通学者でも五割に達した。
 日本学生支援機構がまとめた奨学金受給率合計は二七・八%(二〇〇六年度実績)である。その内訳は、私立大の学生で二五・九%であり、国公立大の学生の三四・九%と比べても低い。先進国のなかで給費制奨学金がないのは日本だけである。
 授業料に対する国の直接助成制度を必要とするとの回答は全体で八七・二%で、新入生家庭のほとんどがこの制度を希望している。自治体では私立高校生への補助が行われている。
 五、入学費用
 入学費用を借入れした世帯は一九・四%で、前年比八・三%と減少している。住居別でみると、自宅外通学者が自宅通学者に比べ、借入れありが多い傾向は変わらない。
 借入額の平均は一六四万八〇〇〇円で、前回と比べて九万五〇〇〇円の減額である。自宅外通学者の借入額は一八五万円で、自宅通学者と比べ五〇万四〇〇〇円高く、自宅外通学者での家計負担の大きさがうかがえる。
 受験から入学までの費用の負担感は、全体平均で九割が『重い』(たいへん重い+重い)と感じており、新入生を入学させた家庭の負担の大きさを示している。その中でも借入れあり(入学費用を借入れでまかなった家庭)では『重い』が九九・〇%となっている。住居別では自宅外通学者の九一・一%が『重い』と感じている。

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