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平成20年4月 第2310号 (4月2日)

協議事項

 協議事項に入り、「平成二十年度の事業計画案(教育学術新聞・私学高等教育研究所を含む)及び予算案」については、一括して企画財務委員会担当理事の廣川利男副会長が、「加盟大学へのアンケートや各種委員会の合同研究会などの議論を踏まえて取りまとめた」として概要を述べ、引き続き小出秀文事務局長が詳細に説明した。同氏は、事業計画として、(1)新たな私学振興基盤の確立、(2)教育・研究の活性化と充実、(3)国際交流・協力の推進、(4)大学財政基盤の充実と強化、(5)管理・運営の充実と強化、(6)広報事業活動の推進、(7)協会事業の企画・立案・調整、(8)対外対処事業、(9)その他の事業のほか、教育学術新聞事業計画、さらに、私学高等教育研究所事業計画等の全体を概括した上で、次の七つの重点目標を説明した。
 @高等教育・私立大学政策の再構築に関する研究・推進(規制改革・構造改革対策を含む)、A大学の教育力の強化(学士課程教育・大学院教育の強化、教職員の資質向上・研修事業の推進等)、B私立大学関係政府予算・税制改正対策の推進、C私学教職員の福利厚生問題への対応(年金問題、健康保険問題等)、D私立大学経営の充実・強化に関する研究・推進(学校法人の強化に関する研究、地域と私立大学の戦略的連携に関する研究)、E大学の社会的責任に関する研究・推進、F社会啓発活動の強化など。(詳細3面)
 特に、これまでの「私立大学発展構想委員会」を改組して「私立大学基本問題研究委員会」を復活させ、私立大学振興・発展のための基本原理・原則等を見つめ直すため適宜・適切な政策立案等を効果的に推進すること、「留学生三〇万人計画」等も中教審で検討されていることもあり国際交流委員会活動を強化すること、加盟校への情報提供、一般社会への情報発信強化を目指すためのホームページの強化等を強調した。
 一方、事業計画に基づいた予算について廣川担当理事は、まず、「会費の積算基準を据置くこととした」と述べた上で、経常会計(一般会計、教育学術新聞会計、附置私学高等教育研究所会計)及び特別会計等が詳細に説明され、協議の後、事業計画案、予算案ともに満場一致で承認された。
 引き続き、同協会の役員(会長、副会長、理事、監事)の改選については、総会に先立つ理事会での「慣例による各支部等から推薦された二名ずつの計一四名による役員選考委員会で新役員を選出する」との選考方法が承認された上で、別室で選考の協議に入り、議場は休憩となった。
 議事再開後、選考委員長となった森本正夫副会長(北海学園大学理事長)が、再任の大沼新会長をはじめ別掲の役員を発表し、満場一致で承認された。
 再任された大沼会長は、「これからは、二十一世紀における我々私立大学協会の存続をかけた運営をしていかなければならない。先人が、今日よりも困難な時代を乗り切ってきたことに思いをいたし、その何分の一かを担って、次の世代に残していきたい。三期目に入り、副会長に新九州支部長の中村量一氏を迎えた」などと述べた。また、会長指名の副会長については、中原 爽氏、黒田壽二氏、原田嘉中氏の三名が再任・承認された。
 次に、日本私立大学団体連合会の代議員、会計監事及び各種委員会委員の任期満了に伴う後任者の選出については、原則留任とし、代議員については、西村駿一副会長に代わって新任の中村量一氏に変更することが承認された。
 協議事項の最後に、高等教育激動期における私立大学の振興・発展方策については、小出局長が経過報告をした。@規制改革関連の対策問題では、株式会社立大学、教育バウチャー制度などの市場原理を背景とするような施策は、教育の論理とは異なるものであること、さらに特区における株式会社立大学の全国化など、世論の声は沈静化の方向にある。また規制緩和の下で、校地・校舎の自主財源なしに株式会社立大学等が容易に設置できるようになったが、その教育内容等について大学設置学校法人審議会等で大きな問題となっている。A中央教育審議会等の審議動向と対策問題では、教育振興基本計画の審議において、具体的な計画の数値目標等が整っていないことから審議が継続中であり、今後は文科省と財務省等との調整・すり合わせ等が行われていく。
 これらの経過説明の後、中教審大学分科会委員で学士課程小委の主査を務める黒田副会長が、去る三月二十五日の制度・教育部会で了承された「学士課程教育の構築に向けて」(審議まとめ)の骨子についての三つの方針(@学位授与、A教育課程編成・実施、B入学者受入れ)に貫かれた教学経営、PDCAサイクルの確立が重要であると説明した。特に「学士力」の養成、質保証など学位水準の維持・向上、国の重点的財政支援、高等学校との接続の改善、FDの実質化などが重要と力説。
 また、留学生特別委員会の審議動向については、同委員の森田嘉一副会長が、「留学生三〇万人計画」の骨子を取りまとめるための検討課題を説明した。我が国の高等教育機関にとっての意義は、国際的な通用性・共通性を向上し、国際競争力を強化させること、少子化に対応した経営安定化などがあるとしながらも、入国管理政策等、実現に向けての課題も多いと述べた。さらに、私学経営を巡る諸問題に関連して、小出局長が、日本私立大学団体連合会総会で決定した「私立大学経営倫理綱領」と「私立大学の経営に関する指針」の概要を説明した。

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