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平成20年3月 第2309号 (3月26日)

厳しくなる共済医療保険事業の財政運営
 政管健保支援・メタボ健診等の実施

  政管健保へ23億円の支援
 厳しい国家財政の現状から、政府は政府管掌健康保険に対する一〇〇〇億円の国庫補助を削減し、その「肩代わり」を健康保険組合等(私学共済も含む)にさせる『国庫補助額の特例及び健康保険組合等による支援の特例措置に関する法律案』を閣議決定し、今国会に上程している。
 このことによって、健康保険組合から七五〇億円、三共済(国家公務員、地方公務員、私学教職員)から二五〇億円の特例支援金を拠出することになる。私学共済からは、三共済全体の報酬総額による按分負担で約二三億円(未確定)を拠出することになる。なお、この法律の施行日は今年の七月一日となっている。
 私学事業団では、このたびの措置は「一年に限って」との条件で負担せざるを得ないとしたものであり、今後、政管健保の赤字増が予測されてはいるものの、注意深く状況を見守っていくことにしている。
「メタボ健診」の義務化
 今年四月から、厚生労働省の医療制度改革の一環として『高齢者の医療の確保に関する法律』に基づいた「特定健康診査・特定保健指導」がスタートする。これは、糖尿病等の生活習慣病の予防の観点からのメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策であり「メタボ健診」とも言われている。私学事業団には、医療保険者として、実施義務が課されている。
 対象は四〇歳から七四歳までの加入者(本人)と被扶養者で、私学共済関係では約三五万七〇〇〇人(本人二三万六〇〇〇人、被扶養者一〇万六〇〇〇人、任意継続加入者一万五〇〇〇人)が該当している。
 この事業は、国の基本指針に基づいて、私学事業団における五年間を一期とする実施計画を策定・公表し、第一期最終の平成二十四年度には、国の定める参酌標準の達成(特定健診・特定保健指導の順に、二十年度=七〇%・二七%、二十一年度=七三%・三二%、二十二年度=七五%・三六%、二十三年度=七八%・四一%、二十四年度=八〇%・四五%)を目指すもの。
 これらの特定健康診査等に要する費用は、二十年度に約一七億円、二十一年度以降は受診率に応じて費用は増加する。そして、二十四年度には、参酌標準値の達成・不達成の評価によって、二十五年度から「後期高齢者医療保険制度」への支援金(拠出金)が加算・減算される予定である。
 この支援金は二十四年度で四四五億円程度と推計され、加算・減算の幅は最大プラスマイナス一〇%が予定されていることから、最大プラスマイナス四四・五億円の範囲で加算・減算されることになり、財政的影響はかなり大きい。保険事業者である私学事業団としては、各学校法人に対し「一学校法人が一保険者」という認識を持ってもらい、連携して目標達成に向け事業を推進していきたいと願っている。
  
 【後期高齢者医療保険制度】 平成二十年度から、現在の老人保健制度が廃止され、新たに七五歳以上を対象とした医療保険制度が創設される。その運営事業費は、公費約五割、医療保険者の支援金約四割、被保険者一割の負担となる。このように医療保険者が支援金の形で拠出することを後期高齢者支援金という。

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