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平成20年3月 第2307号 (3月5日)

凶悪犯の検挙人員1042人 少年非行等の概要

 警察庁は二月、少年非行等の概要(平成十九年一〜十二月)を発表した。それによると、平成十九年中における少年非行情勢は、刑法犯少年の検挙人員が四年連続で減少し、前年と比較してすべての包括罪種で減少した。しかし、福島県での高校生による実母殺人事件、兵庫県では小学生が自宅近くの路上で刺殺される事件が発生したほか、児童虐待、児童ポルノ事件の被害が高水準で推移した。
 刑法犯少年の検挙人員は一〇万三二二四人(前年比八・五%減)となった。人口比については一三・八(同一・〇減)となり、成人(二・五)の五・五倍だった。また、成人を含めた刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は二八・二%で、前年を一・二ポイント下回った。
 特別法犯少年の送致人員は、六三四〇人(前年比一六・六%増)と増加した。
 触法少年(刑法)の補導人員は一万七九〇四人(前年比四・七%減)と減少した。
 触法少年(特別法)の補導人員は六〇八人(前年比三一・六%増)で六年連続で増加した。不良行為少年の補導人員は、一五五万一七二六人(前年比八・七%増)と増加し、態様別では五年連続で深夜はいかいが最も多くなった。
 凶悪犯(殺人、強盗、放火及び強姦)の検挙人員は一〇四二人(前年比一〇・九%減)となった。検挙人員は平成二年の一〇七八人を底に増加に転じ、平成九年に二〇〇〇人を超えてからは高原状態が続いていたが、四年続いての減少となった。
 罪種別では、強姦(検挙人員一二一人、前年比一四・二%増)が増加したが、殺人(同六二人、同一〇・一%減)、強盗(同七五七人、同一五・一%減)、放火(同一〇二人、同一・〇%減)は減少した。
 粗暴犯(凶器準備集合、暴行、傷害、脅迫及び恐喝)の検挙人員は九二四八人(前年比五・八%減)で、七年連続で減少し、記録が残っている昭和二十四年以降最低となった。
 罪種別では、凶器準備集合(検挙人員一三六人、前年比七・一%増)、暴行(同一五八四人、同五・二%増)が増加したが、傷害(同五五八三人、同五・七%減)、脅迫(同一一七人、同二一・五%減)、恐喝(同一八二八人、同一三・七%減)は減少した。
 知能犯(詐欺、横領、偽造、汚職、あっせん利得処罰法及び背任)の検挙人員は一一四二人(前年比一一・七%減)と減少した。
 街頭犯罪(ここでは、路上強盗、ひったくり、車上ねらい、部品ねらい、自動販売機ねらい、自動車盗、オートバイ盗及び自転車盗)の検挙人員は二万四四六二人(前年比八・七%減)で、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は、六〇・〇%(同〇・五ポイント増)だった。
 路上強盗の検挙人員は四三一人(前年比二二・一%減)、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は五〇・四%ポイントと減少した。
 その他の街頭犯罪では、部品ねらい(検挙人員一〇三七人、前年比八・四%減)、自動販売機ねらい(同六五〇人、同二八・七%減)、自動車盗(同六五五人、同二三・一%減)、オートバイ盗(同六七四〇人、同七・八%減)、自転車盗(同一万三六一一人、同七・一%減)及び車上ねらい(同五四二人、同〇・九%減)はそれぞれ減少した。
 刑法犯少年の再犯者数は三万一二二九人(前年比七・七%減)と四年連続で減少した。再犯者の人口比は四・二(同〇・二減)で、成人(一・〇九)の三・九倍となった。
 触法少年(刑法)の補導人員は一万七九〇四人(前年比四・七%減)だった。
 凶悪犯の補導人員は一七一人(同二四・〇%減)と減少した。このうち、放火は一三〇人(同三三・〇%減)と減少しているが、依然として凶悪犯補導人員の七六・〇%を占めている。
 薬物事犯の送致人員は、覚せい剤取締法違反(送致人員三〇五人、前年比五・五%増)が増加したが、大麻取締法違反(同一七九人、同四・三%減)、麻薬及び向精神薬取締法違反(同三〇人、同一六・七%減)、毒物及び劇物取締法違反(同七九一人、同一九・四%減)は減少した。
 覚せい剤取締法違反での送致人員のうち、中学生は四人(前年比六三・六%減)、高校生は二八人(同三六・四%減)と減少した。
 少年が主たる被害者となった刑法犯の認知件数は、三〇万四六七七件(前年比一・四%減)だった。このうち、凶悪犯被害は一三四五件(同八・〇%減)、粗暴犯被害は一万五七七五件(同六・〇%減)、窃盗犯被害は二六万五五〇件(同〇・四%減)で、いずれも減少傾向にある。
 性犯罪被害の認知件数は四七九一件(前年比一〇・三%減)で、減少傾向にある。内訳は、強姦被害は七七〇件(同四・七%減)、強制わいせつ被害は四〇二一件(同一一・三%減)と減少した。
 小学生の刑法犯被害では凶悪犯被害が八三件(前年比二・四%減)、粗暴犯被害は一一一〇件(同一五・七%減)、性犯罪被害は八〇三件(同六・二%減)と減少したが、窃盗犯被害は二万二〇四七件(同五・七%増)と増加した。
 児童虐待事件の検挙件数は三〇〇件(前年比一・〇%増)、検挙人員は三二三人(同一・八%減)、被害児童数は三一五人(同〇・三%減)で、ほぼ前年と同水準で推移している。

 主な用語等の意義
 特別法犯:刑法犯を除くすべての犯罪
 少年:二〇歳未満の者
 犯罪少年:罪を犯した一四歳以上二〇歳未満の者
 触法少年:刑罰法令に触れる行為をした一四歳未満の者
 刑法犯少年:刑法犯の罪を犯した犯罪少年で、犯行時及び処理時の年齢がともに一四歳以上二〇歳未満の少年
 非行少年:犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年

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