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平成20年3月 第2307号 (3月5日)

「大学団体の在り方」で意見提出
  相互連携による私学文化の醸成を 地域振興・公財政支出の拡充を

 1面に掲載のとおり、中教審大学分科会制度・教育部会の「学士課程教育の在り方に関する小委員会」が大学団体に意見を求めていた『大学団体に求められる役割・機能の在り方』および『その役割・機能を果たすための国による環境整備や支援策』に対する、日本私立大学協会の意見の概要は次のとおり。

 『大学団体に求められる役割・機能の在り方』については、同協会加盟全大学の総意として「日本私立大学協会 創立六○周年決意表明」を改めて明示し、日本の教育学術文化の一層の発展と時代の要請ならびに社会の期待に応えるべく、学校法人相互の連携と協力により、新たな私学文化の醸成に努め、私立大学の振興・発展に寄与すること、と述べた。
 さらに、私立大学振興の諸制度・理論の再構築と新展開が必要との考えから、次のとおりに、私立大学団体の今後の課題を挙げた。
 I.私立大学振興の共通課題への対処
 @経営力強化(活性化)への取組を奨励
 ・大学四割、短期大学六割という定員未充足問題
 ・経営相談体制の強化の必要:日本私立学校振興・共済事業団への期待
 ・学校法人の研究、その強化と世論啓発の必要
 A特色ある教育研究の推進、質の画期的充実の促進・奨励
 ・学士課程教育・大学院教育の充実、FD・SDの深化
 ・自己点検評価、第三者評価等の積極活用:第三者評価機関への期待
 ・インターナショナルな人材交流
 B公正な競争環境の整備
 ・高等教育への公財政支出の抜本的拡充/学校法人税制の改善(新たなファンディング・システムの研究・確立/寄附文化の醸成)
 bイコールフッティングとフェアーフッティングについて
 II.大学発展の理論と方策の研究推進
 @社会構造の変化を踏まえた「新たな大学像」の提案
 A少子社会における高等教育の規模(定員規模)の在り方、国公私立大学の役割分担・機能分担の方策研究、国公私立大学の「共同・連携」の方策研究
 B設置形態を超えた大学団体の連携:日本私立大学団体連合会をはじめとする大学団体・関係機関との連携強化への期待
 III.情報提供事業および研修事業の充実
 @理事長・学長協議会:恷шw研修福祉会への期待
 A教員研修会、職員研修会(私学人・大学人意識の覚醒、資質向上)
 BFD研究会・研修会
 IV.大学からの情報発信―広報活動の強化
 @人類共通の今日的課題(環境、食料、エネルギー、医療対策など)の研究成果
 A大学の社会貢献・地域貢献(共同による創造)・時代貢献などの紹介
 V.コンプライアンス体制の確立
 @虚偽申請、補助金の不正受給、研究不正などの不正行為を起こさないための体制整備の啓発
 A学校教育法、大学設置基準、私立学校法などの教育関連法省令遵守の啓発
 また、教育研究活動の充実に対する取組について、私立大学の人材養成に向けた研修事業等に、より一層の力点を置いて努める、とした。
 『国による環境整備や支援策』については、私立大学の振興策こそが最重要課題とし、@地域の振興と活性化に向けた取組に対する重点的な支援を行うこと、A公財政支出のGDP比率を国際水準(一%)へ拡大すること、B国立大学との格差是正にかかる重点的な支援を行うこと、を要望。経済成長を追及する市場原理主義に追従するばかりではなく、この学校法人制度がこれまでに果たしてきた役割について十分な検証を行い、国民の負託に応え得る新しい大学像の構築とそれへの積極的かつ公正な国の支援策が強く望まれる、とまとめた。

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