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平成20年1月 第2302号(1月23日)

「今日の私学財政」(学校法人の基礎調査結果)を公表
  帰属収支差額0以下167法人(32.4%)と悪化
  (大学部門)帰属収入は減少、教育研究経費等は増加

 日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)は、昨年末、学校法人の財務及び経営の状況を把握するための基礎資料として「今日の私学財政」(平成十四年度〜平成十八年度)の報告書を公表した。この報告書は、各学校法人が提出した「学校法人基礎調査」のうち、財政関係について集計・分析したもので、大学・短期大学編と高等学校等編の二分冊ある。大学(短期大学)編では、十八年度の消費収支状況をみると、帰属収支差額(帰属収入から消費支出を引いたもの)がゼロ又はマイナスの法人は一六七法人であった。

 ▽大学法人
 一法人当たりの資産は十五年度以降連続して増加傾向にあり、内訳では、有形固定資産、その他の固定資産、流動資産のうち、その他の固定資産が十四年度の一〇七億四二〇〇万円から十八年度の一一六億五六〇〇万円へと八・五%増加している。構成比率をみるとその他の固定資産は十四年度の二四・〇%から十八年度の二五・八%へと一・八ポイント上昇し、流動資産は一七・一%から一五・三%へと一・八ポイント下降した。その他の固定資産の構成比率が上昇傾向にある背景には、学校法人が引当資産等の蓄積を図っている状況がうかがえる。
 一法人当たりの負債総額は、十四年度から五年間で五億三八〇〇万円(七・二%)減少した。内訳をみると、固定負債は三億九五〇〇万円(八・八%)減少し、流動負債が一億四三〇〇万円(四・八%)減少している。
 一法人当たりの基本金は十五年度以降連続して増加傾向にあり、十四年度と比べて十八年度は二三億三八〇〇万円(五・九%)増加している。
 一法人当たりの消費収支差額の支出超過額は、十四年度の二一億八八〇〇万円から十八年度の三六億五九〇〇万円へと一四億七一〇〇万円(六七・二%)増加し、構成比率も十八年度は八・一%減と、過去五年間で最大となった。
 次に、消費収支の状況をみると、一法人当たりの帰属収入は、十七年度に増加したものの、十八年度は一億二七〇〇万円(一・二%)減少し、一〇七億一六〇〇万円となった。内訳をみると、学生生徒等納付金が減少し、補助金、手数料も減少が続いている。
 一法人当たりの消費支出は、十七年度の増加に続き十八年度も増加している。しかし、消費支出の大半を占める人件費の抑制に努めており、十四年度の五四億九二〇〇万円から十八年度の五三億四九〇〇万円へと一億四三〇〇万円(二・六%)減少している。
 また、帰属収支差額比率(帰属収入から消費支出を減じたものを帰属収入で除したもの)は下降傾向にあり、十四年度の八・一%から十八年度の六・六%へと一・五ポイント下降した。
 なお、十八年度の一法人当たりの基本金組入額は、十七年度に増加したものの十八年度は二・七%減少し一三億五四〇〇万円となっている。
 基本金組入れ後の消費支出が消費収入以上の大学法人数は、五一六法人中三六六法人で七〇・九%、帰属収支差額がゼロ又はマイナスの法人は一六七法人で三二・四%と、いずれも前年度より増加しており、収支悪化状況がうかがえる。
 学校法人が単年度において消費支出超過になったとしても、すぐに経営危機に陥るものではない。しかし、基本金組入れ前で既に消費支出が帰属収入を大幅に超過する状態は経営が窮迫していることを意味しており、消費支出が帰属収入を上回らないように、収支改善を行う努力が強く求められる。
 ▽大学部門
 十八年度の一校当たりの帰属収入は、十七年度より七二〇〇万円減少して五六億九五〇〇万円となった。学生生徒等納付金は十七年度より七六〇〇万円減少しており、手数料、寄付金、補助金も減少している。
 一校当たりの消費支出は、十七年度より三〇〇万円減少し五一億三五〇〇万円である。十八年度の帰属収入と消費支出は共に減少しているが、帰属収入の減少が消費支出の減少を大きく上回っている。
 構成比率をみると、人件費は十四年度の四九・六%に比べて五〇・六%と一・〇ポイント上昇し、教育研究経費は二九・〇%に比べて三一・九%と二・九ポイント上昇している。
 基本金組入れ後の消費収支差額がゼロ又はマイナスの大学部門数は五六一校中二九三校で五二・二%、帰属収支差額がゼロ又はマイナスの大学部門数は一七九校で三一・九%になっている。
 なお、報告書では、学校法人、大学部門については医歯系の額に大きく左右されるため、医学部又は歯学部に係る数値を除外した集計も別途まとめている。

   【平成十九年度版・今日の私学財政】に関する問合せ・購入(三三〇〇円)等は、同事業団私学情報部情報サービス課(〇三―三二三〇―七八四八)まで。



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