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平成20年1月 第2299号(1月1日) 2008年新春特集号

2008年―年頭所感
  社会の期待に応える大学創りに向けて改革を

日本私立大学協会副会長/東京電機大学学園長 廣川 利男

 新年明けましておめでとうございます。
 新しい年を迎え、日本私立大学協会加盟各大学の発展充実と教職員の皆様の御健勝を心からお慶びを申し上げます。
 教育は最重要課題であると言われ、教育基本法が改正され第七条で大学、第八条で私立学校に対し国および地方公共団体は自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法で私立学校教育の振興に努めることが明文化され、第十七条で政府は教育の振興に関する教育振興基本計画を定めることが新たに条文化されました。
 昨年は、教育基本法の新しい教育理念を踏まえ、学校教育法の一部が改正され各学校の目的・目標を見直し、大学に対しては教育・研究に加えて地域への貢献が加わると共に、履修証明制度等が定められました。
 そして、現在政府は中央教育審議会を始めとして教育再生会議・経済財政諮問会議・総合科学技術会議及び規制改革会議等多くの機関で検討していますが、現実的には教育界に競争原理・市場原理が導入され教育基本法や学校教育法の新たな方向は定められましたが私学振興の具現化の魂が置きざりにされているように思われてなりません。
 従って、せっかく法律で私学振興が定められても、現実は少子化の進む中で規制緩和により大学の収容定員が増え、定員を充足出来ず経営困難な学校法人が出始めています。
 その為、一昨年十一月に日本私立学校振興・共済事業団が設置した「学校法人活性化・再生研究会」は昨年八月一日付けで「私立学校の経営革新と経営困難への対応」と題して最終報告書を出しました。
 この最終報告書では、キャッシュフローによる定量的な経営判断指標による自己判断を前提とし、教育研究活動キャッシュフローが赤字となっても、自らの努力で経営改善が出来る状態をイエローゾーン、自らの努力で改善の見込みが立たず更に悪化して再生困難な状態をレッドゾーンに分類し、それぞれの状況に応じた再生・整理支援のスキームを纏めています。
 そして、私立大学がわが国高等教育の大部分を占め、これまで果たしてきた公共的使命と役割を正当に評価し、国公私立大学の適正な定員管理の検討と共に私立大学に対する財政的支援で基盤的経費の充実をすべきであるとしています。
 また私学団体の役割と私学事業団が新たに文部科学省からの委託、経営支援業務を行う為の特化した基金の設立または出資金等対応の出来る財政基盤の強化の必要を求めています。
 この報告書がどのように配慮されるかわかりませんが、先ずは何よりも各学校法人自らが、経営困難を起こさないよう積極的に経営革新に向けた改革を行い、特色化を図り社会の期待に応える大学創りに向けた努力が必要になると思います。

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