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平成19年11月 第2295号(11月14日)

人材育成と募集戦略 トップセミナー(短大の部)

 (財)私学研修福祉会(廣川利男理事長)主催の第三○回私立大学の教育・研究充実に関する研究会(短期大学の部)が去る十一月二日、「私立短期大学の独自性と将来展望」をテーマに、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で開催された。同研究会には一三四校から一九五名が参加して、シンポジウム、講演、分科会などが行われた。
 廣川理事長の開会の挨拶の後、講演に入り、足立寛立教大学総長室調査役から「短期大学に期待する人材育成と今後の募集戦略」と題して、「短大だからこそいいんだということを社会へ広め、短大の特色を出す必要がある」など、教育改革の事例や、大学⇔短大へ、短大⇔専門学校への志望変更の理由等について資料を基に詳細な説明を行った。
 続いて「私立短期大学の独自性と将来展望」と題したシンポジウムに移り、中岡 司文部科学省高等教育局大学振興課長、義本博司厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長、酒向登志郎立教女学院短期大学理事長・学長、の三人がそれぞれ講演を行い、佐藤弘毅目白大学短期大学部理事長・学長がコーディネーターを務めた。
 はじめに、佐藤理事長が、厳しい時代の中、短大が未来を切り開く気概に欠けている。また、行政については、短大への政策誘導がみえないことを挙げ、このシンポジウムでそれらについて協議したいと述べた。
 一つ目の講演は、中岡課長が「高等教育の中の短期大学の役割」と題して、短大を取り巻く社会や時代の変化について解説するとともに、「短期大学士」の創設以降、短大も国際的な競争にさらされ、一層の教育力強化を必要とし、そのような変化に対応することが重要であると述べた。
 続いて、義本課長が「短期大学の保育士育成の今後」と題して、短大における保育士養成の方向性を、地域のニーズに対応した特色化と、地方自治体等との連携を含めた現場保育士等の現職教育、といったことにあるとし、質の向上が必要であると述べた。
 最後の講演は、酒向理事長が「短期大学の現状と課題」と題して、都心部と地方との経済格差から生じる教育の格差のある現状を危惧した。そのような中で、私学(短期大学)の経営哲学について、短大自身がどう変わるのかを意識しつつも、時代に迎合しないこと、建学の精神と使命の基にあるべきだと訴えた。

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