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平成19年11月 第2295号(11月14日)

学校法人の内部統制など 学校法人監事研修会

 文部科学省は、去る十月三十一日、東京・芝公園のメルパルクホールにおいて、学校法人制度上位置づけられた評価システムである監査を担う立場の監事等を対象に、「学校法人の監事研修会」を開催した。研修会では、監査業務に係る職務の重要性の認識や専門性の向上に資するため、最近の私学行政、学校法人の内部統制(管理・運営面と財務面)などについての解説が行われた。
 開会に当たり、磯田文雄高等教育局私学部長の挨拶の後、さっそく解説に入り、小谷利恵文科省高等教育局私学部私学行政課課長補佐・専門官が「最近の私学行政について」と題し、はじめに、監事制度の改善点(監査報告書を閲覧に供することなど)や監査の範囲及び内容、監査報告書の内容、公認会計士の会計監査との連携等の留意点を述べ、学校法人の運営に関わる私学を取り巻く次のような諸情勢を説明した。
 (1)大学・短期大学への進学率五三・七%(平成十九年度)、(2)帰属収入で消費支出を賄えない学校法人の割合が二九・〇%(大学法人では二七・四%〈平成十七年度〉)、(3)教育基本法での「私立学校」の新たな規定、(4)教育三法の改正、(5)私学助成の基盤的経費等の厳しい状況、(6)寄付金等に係る税制改正、(7)経営困難学校法人への対応方針、(8)環境自主行動計画など。
 次に、「学校法人の内部統制と監事の役割」について、石渡朝男前(学)芝浦工業大学常務理事・事務局長が学校法人の経営課題、内部統制と監事の役割、今後の監事体制の在り方について解説した。
 特に、内部統制と監事の役割では、学校法人の公共性(補助金、優遇税制等)やステークホルダーへの情報開示・説明責任、社会的要請への対応などが重要であると述べた上で、ガバナンス(意志決定を担保する仕組み)の強化、さらに、組織が違法行為や不正、ミスやエラーを起こすことなく健全かつ効率的に運営できるように管理、監視する内部統制が大事であると論じた。
 続いて、「学校法人と内部統制(監事監査との関係)」については、山田幸太郎会計士協会学校法人委員会・私立学校法対応専門委員会委員長から解説があった。
 同氏は、(1)監事監査、(2)不正リスク管理、(3)内部統制とガバナンスについて詳細に説明した。(1)では、三様監査として監事監査(役員)、公認会計士監査(独立の外部者)、内部監査(職員)についてそれぞれ解説。(2)では、内部統制の事例として、交付金、補助金の流用、学生アルバイト代の架空請求などを例示。(3)では、リスク評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリングなどのポイントを説明した。

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