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平成19年10月 第2292号(10月17日)

新司法試験に係る法科大学院調査

 「考査委員の遵守事項」で通知

 文部科学省では、このほど、法科大学院を置く七四大学の全てを対象に行った「法科大学院における新司法試験に関連した指導の状況について」の調査結果を発表した。
 この調査は、法科大学院が、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を函養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施しているものの、今般、新司法試験考査委員である法科大学院の教員により、当該法科大学院の学生等を対象に、学内で、司法試験の受験指導が行われたことが明かになり、法科大学院教育の在り方が問われている。
 このような状況を踏まえ、新たな法曹養成制度の原点に立ち返り、司法制度改革の本旨に則った法科大学院教育の在り方の検討等に資するため、各法科大学院における新司法試験に関連した指導の状況を調査したものである。
 調査内容は、(1)平成十八年四月一日から平成十九年六月三十日の間に在籍した全教員(四二五九人)を対象として、新司法試験対策を目的とした答案練習会等の実施の有無。
 (2)その答案練習会等の実施形態、実施科目、実施対象者、実施時期、実施回数等の状況。
 (3)実施形態については、「答案練習会」、「特別な講座」、「その他」に分けて、それぞれの具体的内容を聞いた。
 調査結果の概要は次のとおりであった。
 (1)法科大学院を置く全ての大学において、対象教員の九九%に当たる四二二七人の教員のうち、答案練習を実施した者が五四大学・四六七人で、実施件数は七一一件であった。
 (2)実施類型別で見ると、「答案練習・論述指導」は四三〇件(正課内二二件、正課外四〇八件)、「判例等の解説」は二七五件(正課内三件、正課外二七二件)、「小テスト・事例研究」は六件(正課内のみ)となっており、正課内は全体で三一件(四%)、正課外は六八〇件(九六%)であった。
 (3)正課内に行われた答案練習等三一件について、実施科目は民事系が一〇件、刑事系が八件、公法系が七件となっており、ほとんどが三年次生対象。また、実施回数は九割以上が三回まで。
 (4)正課外に行われた答案練習等の実施主体別の状況では、大学又は教員が主催したものでは、「答案練習・論述指導」が三五七件、「判例等の解説」が二〇一件などとなっている。
 そのほか、正課外における答案練習等の実施概要もまとめた。
 なお、新司法試験の公正性に疑念を生じさせかねないこれらの行為に対し、法務省司法試験委員会が再発防止策の一環として、「新司法試験考査委員の遵守事項」を定め、九月十二日、各法科大学院へ通知するよう法務省から文部科学省に要請があり、この度、法科大学院を置く国公私立大学長宛に清水 潔高等教育局長名で同遵守事項の徹底について通知した。

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