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平成19年10月 第2291号(10月10日)

青少年の走、投(20年前比較)は低下 「平成18年度体力・運動能力調査」

 文部科学省は十月七日、平成十八年度体力・運動能力調査の結果を発表した。調査は平成十八年五月〜十月(小・中・高校生は五月〜七月)にかけて実施され、六歳から七九歳までの七万一二〇〇人を対象に体力と運動能力について調べたもの。それによると、青少年について二〇年前と比べて“走る、投げる”は低下した。

  1、調査結果の概要
 (1)体力・運動能力の加齢に伴う変化の傾向
 男女とも六歳から加齢に伴い体力水準は向上し、男子では青少年期(一二〜一九歳)の後半にピークに達するのに対して、女子では青少年期の前半にピークに達し、その後、数年間その水準を保持する傾向を示している。
 その後、男女とも二〇歳以降は体力水準が加齢に伴い低下する傾向を示している。なお、握力については、男女とも成年期の三五〜三九歳でピークに達する。
 (2)体力・運動能力の年次推移の傾向
 @青少年(六〜一九歳)
 走能力(五〇m走・持久走)、跳能力(立ち幅とび)、投能力(ソフトボール投げ・ハンドボール投げ)などの基礎的運動能力及び握力については、長期的に年次変化の比較が可能である。これらの体力・運動能力は、長期的に見ると依然低い水準となっている。なお、ここ一〇年ほどは、低下のスピードが緩やかになる、あるいは、低下傾向のない項目がある。
 A成年(二〇〜六四歳)
 筋力の指標である握力と全身持久力の指標である急歩には、一定の傾向はみられず、敏捷性の指標である反復横とびは、緩やかな向上傾向を示している。
 2、調査結果の特徴
 (1)青少年について
 @小学生(一一歳)、中学生(一三歳)、高校生(一六歳)の基礎的運動能力(五〇m走、ソフトボール投げ、ハンドボール投げ)及び体格(身長、体重)について二〇年前と現在を比較すると、身長、体重は男女とも向上しているが、五〇m走、ソフトボール投げ・ハンドボール投げは低下している。
 どの年齢においても、男子と比較すると女子の低下率の値が大きい傾向を示している。
 A青少年の運動習慣からみた体力
 運動・スポーツを実施(週一日以上)している群や一日の運動・スポーツ実施時間が一時間以上の群の新体力テスト合計点は、男女とも全ての年齢において、運動・スポーツの実施が週一日未満の群や一日の運動・スポーツ実施時間が一時間未満の群よりも高い値を示している。
 (2)、成年及び高齢者について
 @運動習慣からみた体力の状況
 二〇〜六四歳及び六五〜七九歳において、運動・スポーツを実施(週一日以上)している群やスポーツクラブに所属している群の新体力テスト合計点は、男女とも全ての年代において運動・スポーツを実施していない群やスポーツクラブに所属していない群よりも高い値を示している。
 A新体力テスト実施以降の運動習慣及び体力八年前との比較
 二〇〜七九歳において、運動・スポーツを実施(週一日以上)している群の割合について、新体力テストが開始された八年前と比較すると、どちらの年度も五〇歳頃から加齢に伴い男女ともその割合は向上を示すとともに、ほとんどの年代において、八年前より現在の方が高い割合を示している。
 また、新体力テスト合計点について、八年前と現在を比較すると、二〇歳代の男性と、男女とも四五歳以上の中高年期において、八年前より現在の方が向上の傾向を示し、特に高齢者の向上の度合いが大きい。

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