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平成19年10月 第2290号(10月3日)

科学技術の成果を産業競争力に結びつける イノベーション・プロセスを調査

 科学技術政策研究所では、このたび、「サイエンス型産業におけるイノベーション・プロセス調査(応用物理学会版、電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ版)」をとりまとめ、職場環境とイノベーション活動との関係について分析した。概要は次のとおり。

 科学技術の成果が産業競争力に直結するようなサイエンス型産業において、イノベーションを効果的かつ迅速に実現するためには、知識やノウハウを有機的に終結する仕組みが必要となっている。しかし、日本のサイエンス型産業においては、半導体産業に代表されるように、科学技術の成果が充分に産業競争力に結びつかない傾向が生じており、イノベーションを生み出す仕組みに課題があることが指摘されている。
 こうした背景を受け、より効果的なイノベーション・プロセス構築のための重要な手がかりを模索することを目的としたアンケート調査を行った。
 アンケート調査は、両学会の全面的な協力のもとに実施、応用物理学会員の回答者数は一六一〇名(回収率一六%)、電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ会員の回答者数は一四八八名(回収率二〇・〇%)であった。
 その結果、両学会に共通して、イノベーション活動を生み出しやすい職場環境として次のことが分かった。
 まず、「職場の構成員」について、研究と実践のバランス感覚のある人々や、経済学・法律学・哲学など人文・社会科学を学びたい人々が多くいる職場ではイノベーション活動が活発であることが分かった。
 「職場での実感」についてでは、ふだんの仕事で「真理の探求をしている」、「社会に貢献している」、「自組織に貢献している」という実感があり、仕事のプロセスや成果が「見えやすい」職場にはイノベーション活動にプラスの影響があることが分かった。
 また、「職場での知識の伝達やコミュニケーション」についてでは、知識の共有が幅広く行われており、組織内外でのコミュニケーションが効率的に行われている職場ではイノベーション活動にプラスの影響がみられる。職場の特徴においては、人材育成に積極的で、学習機会の重要性が尊重されている職場や、異分野の専門家との交流が重視されている職場ではイノベーション活動に対しプラスの影響がみられる。
 また、職場の研究開発(R&D)システムについて、回答者の「現在担当している領域」と「自分に向いている領域」について分析した結果、次のことが分かった。
 応用物理学会の回答者の多くが研究・開発・設計といったR&Dシステムの上流領域に従事しており、電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティでは回答者の多くが開発・設計・量産・製品化といったマーケットを直接意識した領域に従事しているが、いずれの学会も各領域間の連結性は低いことが分かった。
 回答者の意識には、技術革新のニーズが、研究→開発・設計→試作→製品化・量産と言った単線的な流れに沿って市場化されるとする旧来のリニアモデル的な志向がみられる。
 これらの結果は、両学会で共通しており、このような現況はイノベーション活動のボトルネック(制約)要因となる可能性があることが指摘できる。

仕事上の必要性から下記の人文・社会科学分野の中に学びたい物がある。
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職場では、長期的に人を育てようとしている
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