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平成19年9月 第2289号(9月26日)

情報化時代の漢字使用等 「国語に関する世論調査」

 文化庁では九月七日、平成十八年度「国語に関する世論調査」の結果を発表した。今回は、情報化時代における漢字使用の意識を中心に調査している。調査対象は全国一六歳以上の男女三四四二人(有効回収率五六・四%)、調査時期は平成十九年二〜三月。調査結果の概要は次のとおり。

 言葉遣いの関心については、関心がある(非常に関心がある+ある程度関心がある)七七・四%、関心がない(余り関心がない+全く関心がない)二二・二%。年齢別では、関心があるが四〇代で八四・八%で最も高く、関心がないのも四〇代で一四・五%だった。
 どのような点に関心があるかでは、日常の言葉遣いや話し方が七三・七%、敬語の使い方が六五・五%、文字や表記の仕方あるいは文章の書き方が二三・三%だった。
 言葉遣いで困っていることでは、全体では外来語・外国語の意味が分からないことがあるが四三・一%、流行語や新しい言葉の意味が分からないことがあるが四二・五%だった。
 新聞・雑誌・ウェブニュースを読む頻度では、新聞は読むが七九・四%、読まないが二〇・六%、雑誌は読むが四三・九%、読まないが五六・一%、ウェブニュースは読むが三二・一%、読まないが六六・九%だった。
 新聞・雑誌・ウェブニュースで使われている漢字を難しいと思うかでは、いずれも特に何とも思わないが七三・二%、ただし、新聞では難しいと思うが約二割だった。
 漢字習得の上で、どのようなことが役に立ったかでは、何度も手で書くが六八・七%、辞書をこまめに引くが五〇・九%、ワープロ・パソコンの漢字変換が一八・〇%だった。
 漢字が書けないときの調べる手段では、全体では、本の形になっている辞書が六〇・六%、携帯電話の漢字変換が三五・三%、ワープロ、パソコンの漢字変換が二一・三%だった。
 常用漢字表があることを知っているかでは、知っているが五一・三%、知らないが四四・七%だった。
 常用漢字を気にするかでは、気にするが三九・六%、気にしないが六〇・三%だった。
 常用漢字の読み書きについての考え方では、すべての常用漢字を、読めて書けるようにすることが望ましいとする考えが四六・七%、一部の常用漢字については、読めるだけで書けなくてもよいとする考えが四〇・八%だった。
 パソコン・ワープロによる文書作成でワープロやパソコンを使っているかでは、今、使っているが四八・九%、使ったことがあるが五七・二%、今、使っていないが五〇・六%だった。
 手書きにするか情報機器で打ち出すかでは、恩師に手紙を出す場合七一・三%がまた、年賀状のあて名三六・二%が手書きにするだった。
 ワープロ・パソコンによる文書作成では、漢字の書き方を忘れることが多くなったが五〇・八%、文章の中で漢字を多く使うようになったが四二・九%、視力を使うので、疲労しやすいが三九・八%、文章が速く作れるようになったが三八・九%だった。
 言葉の言い方で、どちらの言い方を使うか、五つの例(本来の言い方とされるものを線引にした)では、(1)「混乱したさま」を@上や下への大騒ぎが五八・八%、A上を下への大騒ぎが二一・三%、(2)「前言に反したことを、すぐに言ったり、行ったりするさま」を@舌の根の乾かぬうちにが五三・二%、A舌の先の乾かぬうちにが二八・一%。(3)「そんなに思いどおりになるものではないこと」を@そうは問屋が許さないが二三・五%、Aそうは問屋が卸さないが六七・七%。(4)「差し出て振る舞うものは他から制裁されること」を@出る杭は打たれるが七三・一%、A出る釘は打たれるが一九・〇%。(5)「夢中になって見境がなくなること」が@熱にうなされるが四八・三%、A熱にうかされるが三五・六%だった。
 慣用句等で、どちらの意味だと思うか(本来の意味とされるものを線引にした)では、(1)役不足=@本人の力量に対して役目が重すぎるが五〇・三%、A本人の力量に対して役目が軽すぎるが四〇・三%、(2)流れに棹さす=@傾向に逆らって、勢いを失わせる行為をするが六二・二%、A傾向に乗って、勢いを増す行為をするが一七・五%。(3)気が置けない=@相手に気配りや遠慮をしなくてよいが四二・四%、A相手に気配りや遠慮をしなくてはならないが四八・二%、(4)ぞっとしない=@面白くないが三一・三%、A恐ろしくないが五四・一%。(5)やおら=@急に、いきなりが四三・七%、Aゆっくりとが四〇・五%だった。

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