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平成19年9月 第2286号(9月5日)

新たに外部人材の活用など 初中局・生涯学習局の概算要求

1面に掲載のとおり、文部科学省は八月末に平成二十年度政府予算の概算要求を財務省に提出した。初等中等教育局では外部人材の活用(委託費による非常勤講師配置事業)などが、生涯学習政策局では学校支援地域本部事業などが新たに要求された。概要は次のとおり(カッコ内は前年度予算額との比較増)。

初等中等教育局
 1、子どもと向き合う時間の拡充及び教員の適切な処遇
 (1)義務教育費国庫負担金(教職員定数の改善及びメリハリある教員給与体系の実現) 一兆六九五七億四四○○万円(二九八億三二○○万円)―教育の機会均等と水準の維持向上を図ることを目的として、公立の小・中学校(中等教育学校の前期課程を含む)及び特別支援学校の小・中学部の教職員の給与費について都道府県が負担した経費の三分の一を負担するもの。
 (2)外部人材の活用(委託費による非常勤講師配置事業)(新規) 七七億二一○○万円(七七億二一○○万円)―各地域における小学校の専科教員による教育の充実やいじめ・不登校等への対応が進み、教員の子どもと向き合う時間が拡充しており、非常勤講師の効果的な活用について実践的な研究を行い、国の教職員配置の在り方の検討に資する。
 (3)事務の外部化(委託費による学校ボランティア活用事業)(新規)【生涯学習局に計上】 二○四億九五○○万円(二○四億九五○○万円)―地域全体で学校教育を支援するため、学校と地域との連携体制の構築を図り、多様な形態の教員支援を可能とし、子どもと向き合う時間の拡充を図る。
 2、世界トップレベルの義務教育の質の保証
 (1)国語力の育成、理数教育の充実など総合的な学力向上策の推進 一五九億八二○○万円(五八億六二○○万円)―すべての子どもたちに高い学力と規範意識を身につける機会を保障することが必要であり、国家戦略として基礎学力と規範意識を持った優れた人材を育成する。
 (2)小学校における英語活動等国際理解活動の推進 二○億一二○○万円(一三億九二○○万円)―小学校段階での国際理解活動やその一環としての英語活動、外国人とのコミュニケーション活動などが多くの学校で実施されているが、取組内容には相当のばらつきがあるため、国としてその充実にむけて具体的な取組を推進する。
 (3)全国的な学力調査の実施【一部国立教育政策研究所に計上】 七四億一○○万円(八億一○○○万円)―すべての児童生徒の学力や学習状況を把握するための全国学力・学習状況調査を実施し、課題がみられる学校の改善への支援を行うとともに優れた改善策の普及を図るための取組を進める。
 (4)学校評価システムの構築 八億六三○○万円(一億円)―学校が設置者や保護者、地域住民と連携協力しつつ、その運営の改善を図るとともに、保護者や地域住民に対する説明責任を果たすことができるよう、適切な学校評価システムの構築を図る。
 (5)教員免許更新制の円滑な実施(新規) 三七億六二○○万円(三七億六二○○万円)―国民の信頼にこたえる優れた資質能力を有する教員の養成・確保を図るため、平成二十一年から国の責任による教員免許更新制の円滑な実施にむけた事業を行う。
 3、豊かな心の育成と自立し挑戦する若者の育成
 (1)道徳教育の充実 八億一二○○万円(四億八四○○万円)―道徳教育の指導方法・指導体制等に関する実践研究、道徳教育用教材の開発など、道徳教育を推進するための総合的な施策を展開する。
 (2)豊かな人間性や社会性を育む体験活動の推進等 三七億五一○○万円(二八億四一○○万円)―児童生徒の豊かな人間性や社会性を育むためには、成長段階に応じて、自然の中での長期宿泊活動や社会奉仕活動など様々な体験活動を行うことが極めて有意義であり、豊かな心の育成に向け体験活動の推進に総合的に取り組む。
 (3)いじめ問題等への対応や問題を抱える子どもの自立支援、教育相談体制の充実 八七億九二○○万円(一八億九二○○万円)―最近のいじめ問題の深刻な状況や、災害や事件・事故などの被害者である児童生徒等の心のケアの必要性を踏まえ、外部の専門家等の協力を得て、子どもたちの悩みや不安を受け止めるための教育相談体制の充実を図る。
 (4)各学校段階を通じた体系的なキャリア教育・職業教育の推進 二六億九五○○万円(一七億一七○○万円)―昨今の産業社会の高度化、若者の職業意識の希薄化、いわゆる「二○○七年問題」に伴う技術の継承、より高度な専門的職業人の育成の必要性に対応するため、これまで以上に地域社会等と連携した職業教育の充実に取り組む。
 4、充実した教育を支える環境の整備
 (1)幼児教育に係る負担の軽減等幼児教育の振興 二七○億九五○○万円(七五億二二○○万円)―幼稚園就園奨励費補助の拡充による保護者負担の軽減を図るとともに、幼児教育の改善・充実に資するための調査研究等を実施する。
 (2)子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進 一○六億二六○○万円(三○億二九○○万円)―発達障害を含む障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行うため、幼稚園から高等学校における適切な支援のための外部専門家の活用を含めた体制整備を推進するとともに、特別支援教育に係る教員配置の充実及びその専門性の向上を図る。
 (3)学校のITC教育の一層の推進 一○億九七○○万円(四億二六○○万円)―学校における教育の情報化を計画的かつ組織的に進める学校や教育委員会を支援する事業を新たに実施する。
 (4)外国人児童生徒教育の充実 二二億九二○○万円(二一億三五○○万円)―外国人児童生徒が在籍する小・中・高等学校等に日本語指導の際に必要な外国語の分かる人材を配置し、学校における外国人児童生徒の指導体制の充実を図る。
 (5)読書・学習活動を推進する学校図書館の充実 六億七九○○万円(八六○○万円)―学校図書館を活用した様々な学習活動を支援するための調査研究事業を実施し、児童生徒が自ら考え、主体的に判断し、行動できる資質や能力などの「生きる力」の育成に向けた取組を充実する。
 (6)コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の推進 一億八二○○万円(九二〇〇万円)―保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画することを通じて、地域に開かれた信頼される学校づくりを進める新しい仕組みで、このようなタイプの学校運営が着実に推進されるための事業を実施する。
 5、義務教育教科書の無償給与 四○五億九四○○万円(一一億六○○万円)―国公私問わず義務教育諸学校の児童・生徒が使用する教科書を国が発行者から直接購入し、児童・生徒に無償で給与するための経費。
 6、環境教育の推進 三六億九○○○万円(二八億三七○○万円)―学校ビオトープや校舎の緑化などの教育環境の施設整備を図る事業を一体的に実施し、学校における環境教育の一層の推進を図る。

生涯学習政策局
 1、家庭の教育力の向上 二五億六九○○万円(一一億三四○○万円)―地域の基盤形成と合わせ、指導者養成のための標準カリキュラムの開発や家庭教育手帳の作成、子どもの生活リズム向上の推進などの施策を行い、家庭の教育力の向上を図る。
 2、地域の教育力の向上
 (1)学校支援地域本部(仮称)事業(新規) 九九億八一○○万円(九九億八一○○万円)―学校支援地域活性化推進委員会を文科省に設置、また中学校区単位で地域全体による学校教育支援体制をつくる。
 (2)地域ボランティア活動支援センターの在り方に関する特別調査研究(新規) 二億六五〇〇万円(二億六五〇〇万円)―各地域のボランティア活動支援センターにおける活動希望者と活動の受け入れ先との効果的なマッチング方法や関係団体・機関との連携、支援センターの運営等に関する調査研究を実施し、青少年から高齢者まであらゆる世代がボランティア活動を通じて地域社会へ参画することを支援する。
 (3)「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業 一一億九二○○万円(五億六八〇〇万円)―地域住民がボランティア活動や家族参加の体験活動、地域の様々な課題等を解決する学習や活動などの取組を通じて、住民同士が「学びあい、支えあう」地域のきずなづくりを推進する。
 3、放課後子どもプランの推進 九九億二四○○万円(三一億四○○万円)―放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、地域の方々の参画を得て、子どもたちに学習やスポーツ・文化活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する。
 4、教育改革に関する基本的な施策の推進 三億七九○○万円(一八○○万円)
 5、生涯を通じた学習機会の拡大 二六億一八○○万円(二億一四○○万円)
 6、情報通信技術を活用した教育・学習の振興 四億八三○○万円(七三○○万円)
 7、生涯学習政策局所轄・所管機関 一九一億二○○万円(二六億九四○○万円)

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