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平成19年8月 第2283号(8月1日)

"社会力"育成でGPフォーラム 佐々木氏(前東大総長)が基調講演

 地域で学び、「社会力」を育成しよう―筑波学院大学(門脇厚司学長)では、つくば市をキャンパスにした社会力育成教育を実践し、現代GPにも採択されているが、去る七月二十八日、つくば市の同キャンパスにおいて、現代GP・公開フォーラムが実施された。
 同大学では、人が人とつながり、よりよい社会を創るための意欲と構想力と実行力を「社会力」として、つくば市全体を「キャンパス」に学生がキャンパスの外で活動を行うことで、「社会力」豊かな人間に育てることを教育目標としている。特徴としては、市民活動団体等の活動への参加を通じて社会を学ぶことが必修科目となっている。
 フォーラムでは、まず、東京大学前総長の佐々木毅学習院大学法学部教授が「日本の若者と市民意識」と題して基調講演を行った。現代は、将来の「想定」が容易ではない時代であるので、価値観を広げてくれるような、自分には適わないと感じる人に出会うことが大事だと述べた。
 続いて、同大学の金久保紀子准教授(OCP推進室員・教務委員長)が、社会力育成のための具体的なプログラムである「Off Campus Program(OCP)」について解説、その後、学生スタッフからの活動報告があった。学生スタッフからは、地域のNPO等において、学生が活動しやすい環境を創るために企画運営、コーディネート、広報に分かれた支援体制などを紹介。今後はより学生の意見を反映させた運営を行っていきたいなどと述べた。また、実際に活動を行った学生からの報告では、様々な葛藤等を経て社会力を身につけ成長していく様子が語られた。
 報告では、ボランティア教育の専門家である和栗百恵早稲田大学平山郁男記念ボランティアセンター客員講師と興梠 寛日本ボランティア学習協会会長より報告があり、アメリカ等で導入されている社会貢献型の体験学習である「サービス・ラーニング」について解説、ボランティア・社会参画型の教育の重要性と意義を解説した。続いて、関正樹関彰商事株式会社社長が、「企業が求める人材の資質能力と社員の社会貢献活動」と題して講演、社員の多くが地元の市民であり、地域活動は、当たり前のように行われていること等を述べた。最後に、「大学が育てた人材を生かすも殺すも企業次第。企業はもっと大学の取り組みを学ばなければならない」と述べた。
 続いて、NPO法人からの発表として、松浦幹司NPO法人つくば市民活動推進機構(つくばEPO)副代表理事事務局長、及川ひろみNPO法人宍塚の自然と歴史の会理事長、松原卓朗NPO法人茨城県南生活者ネット代表理事が、それぞれ受入団体としての意見と感想を述べ、学生が実際に身体で実感したり、様々な人の生き様から学ぶことの大切さを報告した。
 最後に、門脇学長からの謝辞では、「筑波学院大学は、他とは教育が違うと言われるようにしていきたい」と締めくくり、吉田眞澄同大学教授・学部長から閉会の辞があり閉会となった。
 終了後は、学生が主催する交流会が行われ、関係者による情報交換が熱心に行われた。

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