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平成19年8月 第2283号(8月1日)

第577回理事会 予算・税制改正、私大経営問題など対応策を協議
  文科省 大木教職員課長が「免許更新制」説明

 19年度大学等の入学志願動向 学校法人活性化・再生研(最終報告)など概要解説〈私学事業団〉

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る七月二十七日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第五七七回理事会を開催し、平成二十年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の推進方策の協議のほか、中央教育審議会等の審議動向として、@「教員免許更新制」の導入について文部科学省初等中等教育局の大木高仁教職員課長が免許更新講習等の同制度の概要を、また、A大学分科会の審議動向について、黒田壽二副会長が概要をそれぞれ説明した上で質疑・協議が行われた。さらに、私立大学の経営問題について、日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)の西井泰彦私学経営相談センター長が、学校法人活性化・再生研究会の最終報告及び平成十九年度私立大学・短期大学等の入学志願動向についての概要を解説した。また、報告事項では、「野口英世アフリカ賞」基金について内閣府の山本信一郎大臣官房長が説明したほか、地球温暖化対策についての現状と私学としての対応等について報告された。

 開会に当たり大沼会長は「今年は異常気象なのか梅雨も未だ明けず、また、参院選のため来年度の予算編成の方針も八月中旬以後になると思われる。しかし、事の成り行きを傍観してもいられないので、関係団体や文科省、さらには文教関係国会議員等にも私学への理解を要請している。夏休みを前に協議事項も多いので、ご協力をお願いしたい」と挨拶した。
 まず、「平成二十年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策」については、小出秀文事務局長が概要を説明した。
 予算については、同協会等の検討に基づいて取りまとめられ、文科省等と継続して詰めている日本私立大学団体連合会案に沿って、@地域の振興と活性化に貢献する大学に対する支援の措置、A改正された教育基本法の理念実現のため、教育振興基本計画の高等教育投資目標額を明確に設定するとともに、骨太の方針二〇〇七に掲げる「基盤的経費の確実な措置」に沿う経常費補助金等の支援の拡充、さらには、文科省の研究振興局等との協議を重ねている科学技術創造立国推進に向けた国公私を通じた新たな学術研究に対する支援などを中心に触れた。
 また、税制改正については、学校法人に対する寄附促進のための措置の拡大等のほか、現行特例措置の維持・拡充等の要望などを説明し、了承された。
 中教審等の審議動向と今後の大学改革への対応についてでは、「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律」が公布されたことに伴い、文科省では、教員免許更新制の導入に向け諸準備を進めており、大木教職員課長は更新講習について、各課程認定大学に積極的に取り組んでほしいこと、また、全国七地区での課程認定大学関係者対象の説明会への参加などを呼びかけた。
 なお、「大学分科会等の審議動向」については、黒田副会長が、主に大学分科会の各部会等の今後の審議が参院選の影響を受けて遅れ気味であることなどを説明した。これらの審議動向を注視し、適宜適切に意見具申するなどの対応をとることが了承された。
 次に、私立大学の経営問題等について、私学事業団の西井私学経営相談センター長が@学校法人活性化・再生研究会の最終報告、A平成十九年度私立大学・短期大学等入学志願動向について、そのポイントを解説した。
 @についてでは、第六章として「関連して取組むべき課題」を柱立てし、高等教育の国公私格差及び地域格差等の是正に向けた基盤的経費への助成の拡充など、中間まとめではあまり言及されなかった私学への支援の充実が盛り込まれる方向で取りまとめられた。
 関連して、同研究会委員の廣川利男副会長、福井直敬常務理事の二人からも、私立学校の果たす役割に意を払ってまとめられているとの感想が述べられた。
 Aについてでは、別掲のとおり、大学の入学定員充足率一〇〇%未満の学校数の割合は、十九年度三九・五%で十八年度の四〇・二%より〇・七改善されたことなどの主なポイントを説明した。
 引き続き、(財)私学研修福祉会並びに(財)私立大学退職金財団の欠員評議員の推薦について、退任される北海道支部所属の酪農学園大学理事長の平尾和義評議員の後任を大沼会長と同支部の森本正夫支部長で相談の上決め、理事会に報告することが了承された。
 次に、同協会への加入申請のあった(学)宇部学園の設置する山口学芸大学について、協議の上、加入が承認された。
 その他、沖縄で開催する同協会の第一二七回総会(秋季)の主な協議事項・報告事項等について協議し、原案どおり承認された。
 協議事項の最後に、去る七月十六日の「平成十九年新潟県中越沖地震」による同協会加盟大学へのお見舞いについては、被害の大きかった柏崎市の新潟工科大学に対し、前例等に照らして決めることとし詳細については会長に一任とすることとなった。
 報告事項に移り、平成十八年七月に閣議決定された「野口英世アフリカ賞」基金のための募金協力について、内閣府の山本大臣官房長が同賞の主旨・内容を説明した上で、基金のための寄付を訴えた。
 次に、地球温暖化対策の現状と私学の対応等について、現在、私大協会等の環境自主行動計画案を基に、十月にはCO2削減の取組が取りまとめられる方向で検討されている。
 そのほか、学校債の有価証券指定に伴う新しい会計準則に関する検討会について、また、同協会評議員登録変えとして、@酪農学園大学の平尾和義前理事長から麻田信二新理事長へ、A神戸学院大学の眞弓忠範前学長から岡田芳男新学長へそれぞれ交代した。協会理事の欠員等については、今後、各支部等とも相談の上、秋の総会で方針を定めていくことになった。
 最後に、中部支部春季総会、学生生活指導主務者研修会、教育学術充実協議会、競争的研究資金制度に関する協議会等が報告された。
 なお、次回の理事会は、定例で八月は休会とし九月二十八日(金)の開催となる。

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