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平成19年7月 第2282号(7月25日)

第437回常務理事会
  年金一元化及び経営困難校問題 (私学事業団)への対応で協議
  地球温暖化対策で自主行動計画を論議

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、七月十三日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、第四三七回常務理事会を開き、日本私立学校振興・共済事業団関連の諸問題のほか、地球温暖化対策の現状と私学の対応策を協議した。

 大沼会長の挨拶の後、さっそく協議に入り、はじめに私学事業団関連の諸問題として、小池啓三郎理事より私学共済事業関係として、共済事業の現況とりわけ年金一元化が及ぼす私学事業団への影響等について概要が説明された。
 年金一元化に関しては、二階部分の年金が厚生年金に統一されることに伴って@保険料率の引上げ(平成二十二年以降、一・二階部分の保険料率を毎年〇・三五四%ずつ引上げる)、A共済の積立金の仕分け、B私学への貸付事業、C職域部分の廃止と新三階年金の創設などについて、国会に提出されている法律案の内容を解説した。
 また、宿泊施設については、廃止施設を含む一二物件について一括売却するなど、年金一元化を控えて私学事業団の原点に立ち返り在り方等を見直していきたいなどと抱負を語った。
 なお、「基礎年金番号のない私学共済の記録が四六万件」などと報道されたがこれは今後年金の決定を受ける人についての平成八年十二月以前の記録であり、私学事業団では、社会保険庁で付番した基礎年金番号とは別の私学共済制度固有の「加入者番号」で一元管理し、確実に年金を払っているとの説明を加えた。
 次に、私学振興事業関係として、石川 明理事から助成業務の現状と見通し等が説明された。定員割れ私学への対応など、補助の在り方、経営困難校問題、私大経常費補助など平成二十年度概算要求、融資事業と私学事業団の経営についてなど多岐にわたって詳細に説明した。特に、私大経常費補助に係わる「対前年度▲一%」について、押しもどすことは難しいかもしれないが、大事なことは言い続けることが必要であると強調するとともに、二十年度予算のシーリングについては、参議院議員選挙後の八月中旬頃になるのではないかと述べた。
 これらの説明の後、出席の理事らから、施設の売却の際の従業員のためのフォローや、大学が最終的に再生不可能になった場合には、社会にダメージを与えずに学生支援を徹底していくこと等の意見が出された。
 引き続き、「地球温暖化対策についての現状と私学としての対応等」についての要望を文部科学省の磯田文雄私学部長が述べた。
 平成十七年四月、地球温暖化対策推進法に基づき、京都議定書に定められた目標(CO2など六種類の温室効果ガスの排出量を平成二十年から二十四年までに先進国全体で平成二年比で少なくとも五%削減することを目的として、各国に法的拘束力のある数値約束〈日本▲六%〉を設定)を達成するため、同議定書目標達成計画が閣議決定された。その中で、私立学校等も自主行動計画を策定することが求められていた。
 私立学校の中でも、特に規模の大きい大学等については、エネルギー使用の合理化に関する法律に基づいて、熱・電気のエネルギー使用量を毎年一%減らす省エネ等に取り組んできた(平成十九年四月現在、一三〇の私立大学が同法の適用対象となるエネルギー管理指定工場としての指定を受けている)。また、この一三〇の私立大学については、CO2排出量を算定し、主務大臣に報告することが義務づけられ、既に相当の取組みを行ってきた。
 しかし、今回、小規模の学校等も含め、私学団体としての自主行動計画の策定が求められている。文科省としても、今年五月に「地球温暖化対策に関する計画の策定の促進について」(官房長通知)を発出するなどして、自主行動計画の策定の促進に努めており、私立学校に協力を呼びかけている。
 このような磯田私学部長の呼びかけに応じて、私大協会では自主行動計画案を作成し、その内容について協議するとともにコンセンサスを求め、各大学それぞれにおいても省エネの意識改革を促していく方向を確認した。

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