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平成19年7月 第2281号(7月18日)

科研費等の補助金の機関管理で研究会 管理・監査のルール11月までに!

 文部科学省は、去る7月10日、東京・千代田区の日比谷公会堂において、「科学研究費補助金等に係る機関管理に関する研修会」を開催し、今年2月の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(文科大臣子決定)を受けての大学における機関管理の情報の共有化を図るとともに・機関管理の徹底および不正防止対策を訴えた。また、基盤研究(B)・(C)にも措置されてる間接経費の取扱いや繰越等についても言及した。なお、どう研修会は全国で一会場のみでの実施となり、当日は全国の大学等から1700名以上が出席した。

 開会に当たり、文科省の磯谷桂介研究振興局学術研究助成課長から「公的研究費の管理・監査のガイドラインは大綱的なものであって、具体的にどのような制度をつくるかは、各大学に委ねられている。それぞれの大学にふさわしい、より現実的で実効性のあるルールづくりをお願いしたい」と挨拶が述べられた。
 続いて、研究機関における機関管理の取組状況の事例紹介が慶應義塾大学、京都大学、國學院大学、広島大学、熊本大学等から順次行われた。
 慶應義塾大学からは、@研究支援の概要、A責任体系の明確化、B適正な運営・管理の基盤となる環境の整備、C不正防止のための内部統制検討体制、D研究費の適正な運営・管理活動、Eモニタリング体制の在り方などを解説するとともに、「機関としてのルール」を今春にスタートしたばかりであり、今後、整備し徹底していきたいとした。また、間接経費の使用状況や実績についても言及した。
 次に、京都大学からは、検討段階としての@責任体制について、A事務処理手続・競争的資金等の使用に関するルール等相談窓口、B検収センターの設置、C通報(告発)窓口の設置、Dルールの明確化・統一化など、検討段階のいくつかの案を示して解説した。
 國學院大学からは、@公的資金管理・運営の事務局体制、A学内ルールの整備状況、B管理・運営体制(支出依頼書、物品購入申請書、旅費計算書、研究補助等依頼書・承諾書等)、C不正防止への取組み(管理・監査のガイドライン策定委員会)などを解説した。
 広島大学からは、@検討WGチームによる対応策の検討体制、A対応方針、B責任と権限体制の整備及び研究費等の適正な運営・管理活動などの早期に実施する事項、C管理・運営体制イメージ、D物品等の納品検収、E謝金実施状況確認、F出張の実施状況確認、Gモニタリングなどを解説した。
 事例報告の最後に、熊本大学からは、@事務取扱要項等のルールの制定状況とその周知、A管理責任者・組織・員数・事務分掌等の経費管理体制、B物品購入、旅費、謝金などの支出に関する適切性の確認、C監査の実施状況などについて解説された。
 引き続いて、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」についての詳細な説明が同省科学技術・学術政策局の清浦 隆調査調整課競争的資金調整準備室長から行われた。
 同氏は、@不正使用が起こる背景と不正使用防止への取組として、研究者のモラルと研究費の管理システム・組織体制の不備等といった背景を説明するとともに、不正防止のための責任体制・研究費の管理体制・環境の整備・モニタリング・監査の実施等の取組の必要性に言及した。
 次に、Aガイドライン(実施基準)そのものについて、第一節・機関内の責任体制の明確化、第二節・適正な運営・管理の基盤となる環境の整備、第三節・不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施、第四節・研究費の適正な運営・管理活動、第五節・情報の伝達を確保する体制の確立、第六節・モニタリングの在り方、第七節・文科省による研究機関に対するモニタリング、指導及び是正措置の在り方、について解説するとともに、ガイドラインに沿った実施状況報告書の提出(五月三十一日付科学技術・学術政策局長通知)の時期については平成十九年十一月中であること、さらに報告内容についても@最高責任者等の実施、A相談窓口・通報窓口の設置、B防止計画推進部署の設置とモニタリング及び監査制度の整備、C当事者以外によるチェックが機能する発注・検収システムの構築・運営、など必ず実施を求められる事項を詳細に説明した。
 科研費における間接経費については、「研究機関の長が当該研究課題の遂行に関連して間接的に必要と判断した場合、研究機関の長の裁量により執行できる」とした上で、例えば、研究費の機関管理に必要な専門の事務スタッフの配置費用、研究棟などの施設整備のための費用、大学主催の研究成果発表・シンポジウムの開催経費、その他(特許関連経費、雑役務費、通信運搬費、光熱水費)などの例をあげた。
 そのほか、「科研費の繰越」に係る留意点等についても触れて閉会となった。

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