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平成19年5月 第2273号(5月16日)

大学等の知財管理体制進む 平成18年度知的財産活動調査報告書

 特許庁では、このたび、平成十八年度「知的財産活動調査報告書」をとりまとめた。同庁では、我が国の知的財産活動の実態を定量的に把握すべく国内の法人、個人、大学及び公的研究機関等を対象として毎年調査を実施している。概要は次のとおり。

 調査方法
 同調査は、我が国唯一の知的財産に関する統計調査であり、その調査方法は、国内の法人、大学等の調査対象に対し調査票を郵送し、前年度の知的財産活動をベースとして回答してもらうもの。このたびは、平成十六年度に特許・実用新案・意匠・商標出願のいずれかを五件以上出願した国内の法人、個人、大学及び公的研究機関等七八六〇件を対象に平成十七年度の知的財産活動について調査を実施した。回収率は五一・七%で、そのうち四〇二九件が集計対象。大学等については次のとおり。
 1.知的財産担当者数から見た我が国大学等の体制整備
 大学等の知的財産担当者は全体的に増加傾向にあり、平成十六年度の約一二七〇人から約二三〇人増加し、平成十七年度には、約一五〇〇人となった。大学等における知的財産の権利化や管理等のための体制が着実に進んできていると思われる。今後も、知的財産戦略本部が推進する「知的財産人材育成総合戦略」にも示された、「知財専門人材を今後一〇年間で倍増させる」という計画とも関連し、企業等における知的財産担当者は、引き続き増加していくことが予想される。
 2.知的財産活動費からみた我が国企業等の知的財産活動の状況
 大学等の知的財産活動費を見ると平成十七年度は約一〇〇億円で、平成十六年度から約一二億円増加(前年度比一三・二%増)している。その内訳は、出願系費用が約八億円増加(同三五・六%増)、人件費が約二億円増加(同三・九%増)、中でも、補償費は、約二億円増加(同一三三・一)している。なお、その他費用には、知財に係る係争事務、契約管理、企画、調査、教育に要した費用などが含まれる。今後も、大学等の出願戦略等が重要視されることから、研究開発や出願のための先行技術調査に係る費用、これに携わる人材、その人件費の増加などが見込まれる。
 3.特許の所有件数及び利用率から見た我が国大学等の産業財産権の活用状況
 大学等の国内の推移の利用率を見ると、自らが主として特許を実施する性格ではない教育機関において、二〇〇五年度は二二・四%と、二〇〇四年度の一四・七%から利用率を大きく改善しており、大学等における国内特許権の利用が進んでいる様子がうかがえる。
 大学等においては、知的財産業務に関連する人材を組織内に配置するような動向が見られ、今後、より一層の知的財産の権利化や管理等のための体制構築が図られていくものと考えられる。このような需要に応えるべく、知的財産専門人材の育成、増加が求められる。

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