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平成19年4月 第2269号(4月11日)

受験から入学まで214万6020円 東京私大教連が調査

 東京地区私立大学教職員組合連合(委員長・中川雄一郎明治大学教授)では三月に、二〇〇六年度「私立大学新入生の家計負担調査」の結果を発表した。調査は二〇〇六年五〜六月にかけて一都五県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木)にある二〇大学・短大に入学した新入生の家庭(保護者・父母)を対象に行われた。
 同調査のポイントは次のとおり。(カッコ内は対前年比)
 一、受験から入学までの費用
 受験から入学までの費用は、自宅外通学者は二一四万六〇二〇円で、対前年度二八六四円(〇・一%増)増額し、自宅通学者も七六四円(〇・一%増)増額の一四九万一二二〇円で、対前年比で微増した。
 その内訳は、自宅外通学者で受験費用が八二〇〇円減額、家賃が一四〇〇円、敷金・礼金が三九〇〇円、生活用品費が三四〇〇円、初年度納付金が二三六四円がそれぞれ増額、全体では二八六四円増額した。
 初年度納付金は一三〇万八三二〇円で対前年度二三六四円(〇・二%増)の増額。受験から入学までの費用全体に占める初年度納付金の割合は、自宅外通学者では六一・〇%(〇・一%増)、自宅通学者では八七・七%(〇・一%増)だった。自宅外通学者・自宅通学者ともに前年とほぼ同じ比率だが、家賃・敷金礼金・生活用品など入学時の居住費がやや増額している。
 二、入学の年にかかる費用
 自宅外通学者の入学の年にかかる費用は、三〇七万二四二〇円で、前回と比べ二万八七三六円(〇・九%減)減った。また、父母、学生の裁量でいちばん出費をおさえることができる費目である仕送り額(四〜十二月)は九二万六四〇〇円(三万一六〇〇円減)で、前年とほぼ同じ減額幅(〇五年、二万九八〇〇減)である。内訳では、受験費用が八二〇〇円減額し、住居費が八七〇〇円、初年度納付金が二三六四円それぞれ増額。この三費目を合計すると二八六四円の増額となった。
 自宅外通学世帯の税込収入九四七万二〇〇〇円に占める入学の年にかかる費用の割合は、三二・四%と三割を超え、依然として家計に占める負担の重さを示している。
 世帯の税込年収は、全体平均が九四四万二〇〇〇円(一・三%増)、住居別では自宅外通学者で九四七万二〇〇〇円(二・一%減)、自宅通学者で九四一万九〇〇〇円(四・五%増)だった。世帯の税込年収の推移をみると、二〇〇二年度以降は一〇〇〇万円台を割込んでいる。
 三、入学費用
 入学費用を借入れした世帯は二七・七%で、前年比五・八%と大きく増加した。住居別では、自宅外通学者では三人に一人近く、自宅通学者では四人に一人が借入れありだった。
 借入額の平均は一七四万三〇〇〇円で、前回と比べて七万九〇〇〇円の増額。自宅外通学者の借入額は二〇七万円で、自宅通学者と比べ六八万一〇〇〇円も高く、自宅外通学者での家計負担の大きさがうかがえる。平均、自宅外通学者、自宅通学者のいずれの借入額も過去最高である。
 受験から入学までの費用の負担感は、全体平均で九割が重い(大変重い+重い)と感じている。借入れありでは、重いが九五・五%、住居別では自宅外通学者の九一・七%が重いと感じている。
 四、六月の仕送り額
 仕送り額は、費用がかさむ五月が一一万六〇〇〇円、出費が落ちつく六月が九万九二〇〇円といずれも減少した。六月の仕送り額は、同項目の調査を開始した一九八六年の一〇万三〇〇〇円がこれまで最低額である。今回の結果は、さらにこれを下回り、一九九六年と比較すると一〇年間に二割減少している。六月の仕送り額の結果からは、父母、学生の負担が一層深刻化していることが推測される。
 家賃の平均は前年に六万円を割り込んだが、今回の調査では二〇〇二年度以降続いた六万円台になった。これにより、仕送り額(六月)九万九二〇〇円に占める家賃六万一〇〇円の割合は六〇・六%となり、調査開始(一九八六年度)以来はじめて六割を超えた。
 仕送り額から家賃をのぞいた生活費は一一年連続で減少し、調査開始以来、過去最低の三万九一〇〇円となった、この額から一日当たりの生活費を算出すると、一三〇三円で、最低額を更新しつづけている。
 五、奨学金
 日本学生支援機構を含む奨学金の希望者は全体の六一・一%を占め、二〇〇〇年代に入ってから六割の水準にある。
 希望者のうち、実際に申請した割合は、調査開始以来漸増を続け、本年は五九・三%とほぼ六割に達した。住居別では自宅外通学者で七割に近づき、自宅通学者でも五割に達した。
 日本学生支援機構がまとめた奨学金受給率合計は二五・六%(二〇〇五年度実績)。その内訳は私立大学生が二三・七%で、国公立大学生の三二・五%と比べても低い。先進国のなかで給費制奨学金がないのは日本だけである。
 授業料に対する国の直接助成制度を必要とするとの回答は全体で八六・九%で、新入生家庭のほとんどがこの制度を希望している。自治体では、私立高校生への補助が行われている。

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