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平成19年3月 第2265号(3月7日)

大学教育テーマにシンポなど 第12回FDフォーラム開く

大学コンソーシアム京都では、去る三月三日、四日の二日間、京都市内において、第一二回FDフォーラム「学生が伸びる大学教育」を開催した。第一日目の会場となった京都産業大学の神山ホールは、全国各地から参加した大学の関係者で満席となった。

 第一日目は、京都産業大学の神山ホールにおいて、基調講演とシンポジウムが行われた。
 まず、坂井東洋男京都産業大学学長による会場校挨拶、河原地英武同フォーラム企画検討委員会委員長による運営責任者挨拶の後、京都産業大学の客員教授である樋口裕一氏より「大学生の発信力が伸びる」と題した基調講演があった。
 樋口氏は、「頭がいい人、悪い人の話し方」などの著書で有名で、小学生から社会人までを対象とした小論文や作文の通信指導塾などを経営している。
 まず、日本人は文章作成など「発信」していくことが苦手だが、今後はこの「発信していく力」が重要になると述べた。同氏は、日本人が文章作成が苦手な理由を、A文章を書く教育を受けていない、@情緒的A主観的な作文は書かせるが、小論文等客観的な文章作成は教育していない、B文章の「型」を否定し自由に書かせる、などを挙げた。その中で、型について、実際に小論文を例に取りながら解説、「型どおりに書かせて、論理的な文章になってから、自由に書かせることが大事。型が出来れば、色々な文章が書けるようになる」と述べた。
 シンポジウムは、コーディネーターに木野 茂立命館大学大学教育開発・支援センター教授、シンポジストに中津井泉麻潟Nルート・カレッジマネジメント編集長、中尾ハジメ京都精華大学理事長、「多人数討論型授業(橋本メソッド)」の橋本 勝岡山大学教育開発センター教授が務め、大学教育への期待と題して行われた。ディスカッションでは、中津井氏が「マーケットに合わせて戦略を考える必要があるが、誰に何をするかは大学の自由。掲げた理念に基づいて取り組んでいくべき。また、FDは各教員が独自にやるのではなく、隣の教員が何をやっているかなどを知り、全体を把握しながらその中での自分の役割を再確認して欲しい」と述べた。中尾氏は、同大学の歴史や成り立ち、特色GP等の取り組みについて述べた。最後に、「どのような学生でも、「学問をしたい」という気持ちがあることをひたすら信じながら教えていくことも必要だ」と述べた。橋本氏は、「学生が伸ばす大学教育」が理想として、学生参画型教育改善について紹介した。最後に、「様々な課題は、逆転の発想で、むしろその課題を強みに変えながら、取組を工夫していきたい」と述べた。
 シンポジウム後は、情報交換会が催された。
 二日目は、京都駅前のキャンパスプラザ京都に会場を移して、二つのミニ・シンポジウムと六つの分科会が行われた。テーマは、FDとSDの接続について、授業アンケートと授業改善について、キャリア教育について、国際化への対応について、大学院FDについて、短期大学について、学力低下問題について、大学連携型教育についてなどで、五時間に渡りプレゼンテーションやディスカッションが行われた。
 最後に、同コンソーシアムの事業紹介が行われ、終了した。

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