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平成19年2月 第2264号(2月28日)

人件費削減で観測縮小危惧 地震・火山の予知計画レビュー

 科学技術・学術審議会測地学分科会は、地震予知のための新たな観測計画と火山噴火予知計画の実施状況について、レビューを取りまとめた。
 平成十五年七月に同審議会の次の二つの建議により、火山噴火予知と地震予知に関する研究が、平成十六年度から二十年度までの五カ年計画として推進されている。
 現在のこれら観測研究計画が平成二十年度に終了することから、次期計画の策定に向けて、現計画の実施状況、成果を把握するとともに、今後の課題についてレビューを実施した。
 まとめは次の通り。
 《第七次火山噴火予知計画の実施状況等のレビューについて》
 火山噴火予知に関する観測研究は順調に進展している。富士山や三宅島、浅間山の観測によって、噴火に至る長期的な活動変化等を把握。また、より高度で正確な火山情報への期待が増し、観測研究を強化し基礎研究の推進により火山噴火予知研究の更なる高度化が必要になる。
 しかし、国立研究機関や国立大学の法人化に伴い、運営費交付金の年次的な削減、定常的な人件費削減などが進んでいることから、企業等からの外部資金獲得が困難な火山観測研究の分野では、近い将来、観測研究の縮小が危惧される。火山噴火予知計画で整備された大学の観測網等は老朽化しており、更新の目処も立たず、観測研究の強化は困難である。監視観測の強化等を行うためには、観測やそれを取り巻く火山噴火予知体制の組織的・抜本的な見直しが不可欠である。
 《地震予知のための新たな観測研究計画(第二次)の実施状況等のレビューについて》
 第二次計画では、「地震予知研究」を前兆現象に依拠した経験的な地震予知の実用化ではなく、地震発生に至る地殻活動の理解、モデル化、モニタリングを総合化したものとして、「総合予測システム」を構築し、「地震がいつ、どこで、どの程度の規模で発生するか」を定量的に予測することを目標とした。
 さらに、来るべき地震の場所と規模の他、対象とする地点の揺れ方等の地震像を評価し、発生時期の予測制度を徐々に向上させることで防災対策等への社会貢献を行いつつ地震予知の実現に着実に近づくとした。
 成果は着実に上がっており、今後もこうした方針で進めるべきとしている。

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