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平成19年2月 第2261号(2月7日)

私大関係予算・税制改正の在り方を協議
   19年度政府予算案など文科省担当課長が説明

 重点事項など19年度の事業計画編成方針決まる

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る一月二十六日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、今年度第五回企画財務委員会(担当理事=廣川利男東京電機大学学園長)において、平成十九年度の同協会の事業計画案並びに予算案の大枠を協議した上で、同日、第五七一回理事会を開催した。昨年十一月以来二か月ぶりの理事会開催となり、多くの報告事項のほか、協議事項の関係から、始めに各種事業報告を行い、その後、協議事項の審議が行われた。協議事項では、平成十九年度の私大関係政府予算案・税制改正の結果等について、文部科学省の担当課長等から解説が行われての協議となった。また、平成十九年に入って初の理事会ということで、終了後には会場を移しての懇親夕食会が開かれた。

 始めに大沼会長が挨拶に立ち「昨年末の十九年度予算要望活動は実を結ばなかった。非常に残念である。昨年秋の六〇周年の節目の事業も終わり、六一年目の新たなスタートを切るに当たり、昨年の反省を踏まえ早期に関係者の知恵を集めて対応策を考えたい。将来にわたって誤りのない方向を目指し、新年度の事業計画・予算等も組んでいきたい」などと訴えた。
 報告事項では、就職部課長相当者研修会の実施(平成十八年十一月十五日〜十七日・新潟)について大橋秀雄担当理事から、各支部総会の実施について、それぞれ森田嘉一関西支部長、西村駿一九州支部長、小出忠孝中部支部長から報告された。
 続いて、昨年十一月三十日にアルカディア市ヶ谷で実施された同協会創立六〇周年記念式典・祝賀会について、廣川企画財務委員会担当理事が報告した。
 次に、大阪経済大学の同協会登録評議員の変更に伴う理事の欠員について、松谷嘉隆前理事長から真銅孝三理事長に交代することの報告があった。
 そのほか、(財)私学研修福祉会平成十九・二十年度の「私立大学の教育研究充実に関する研究会(大学の部)運営委員」の推薦では、小田一幸東京造形大学理事長、小原芳明玉川大学理事長・学長、香川達雄女子栄養大学理事長、小出忠孝愛知学院大学学院長・学長、佐藤東洋士桜美林大学理事長・学長の五氏が推薦された。また、(独)大学評価・学位授与機構の「大学機関別認証評価委員会専門委員候補者」の推薦、入学金・授業料返還訴訟に係わる最高裁判決、さらに、(財)日本高等教育評価機構の認証評価の状況等についてそれぞれ報告された。
 協議事項では、理事会に先立つ企画財務委員会で大枠を検討した平成十九年度事業計画案の策定方針及び予算案の編成方針等について、小出秀文事務局長が提案説明を行った。私学を取り巻く諸情勢に目配りしつつ、加盟校アンケートで寄せられた全国からの声を反映させた事業計画を立案した上で、次の諸事項に重点的に取り組んでいきたいとし、@学校法人の強化に関する研究と推進、A私学の活性化方策の研究と対処、B教育振興基本計画への対処、C私学関係政府予算対策(歳出改革の改善提言)、D私学年金問題の動向注視と新三階部分の創設問題への対処(継続課題)、E授業料・学納金問題の研究(継続)、F規制改革問題への対策(株式会社立学校問題、教育バウチャー問題など)、また、予算については、会費等を前年度と同じとし値上げはしないことなどを挙げた。そのほか、予算の関連で、(財)私学研修福祉会からの研修事業への支援金、(財)日本高等教育評価機構への支援など、今後の企画財務委でさらに精査した上で取りまとめ、次回理事会に提案していきたいと説明した。
 これらの議案は、協議の後、承認された。
 次に、規制改革・民間開放推進会議及び教育再生会議等の審議動向と大学改革等への対応についてでは、同推進会議の「規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申」において、教育バウチャー制度の検討や高等教育機関の見直し等が取りまとめられていること、教育再生会議の「社会総がかりで教育再生を〜公教育再生への第一歩〜第一次報告」の内容が説明され、これらの審議動向を注視していくこと、さらに、大学設置・学校法人審議会の学校法人分科会長の黒田壽二副会長から、構造改革特区制度で設立された株式会社立の「LEC東京リーガルマインド大学」が、学校教育法に基づく初の改善勧告を受けたことが説明され、学校法人制度の根幹に係わる問題には、注視が必要であることを確認した。
 次に、被用者年金制度一元化問題等の動向については、文科省私学共済室の山下 馨室長、日本私立学校振興・共済事業団の佐藤憲昭理事から審議状況が説明されたが、同協会としては昨年の閣議決定の折、新三階部分については「私学独自のシステム」で検討することになっていたこと、事務組織は私学事業団を活用すること、あくまでも一元化と同時に進めることなどのスタンスを守り、文科省と連携を図りながら政府・与党等の関係部会等に強く理解を求めていくことなどが承認された。
 最後に、平成十九年度私学関係税制改正、政府予算案、平成二十年度の私大関係補助金及び税制の在り方等について、文科省の担当課長五氏からそれぞれ解説が行われた。
 まず、私学関係税制改正については杉野 剛私学行政課長が「学校法人への個人寄付者に係る所得控除限度額が所得の三〇%から四〇%へ引き上げられた」ことを説明するとともに、「今後はその実を上げて欲しい」と強調した。次に、小松親次郎高等教育企画課長が高等教育局関係予算案全体の概要を、芦立 訓私学助成課長が私学助成の特別補助の制度改変について、また、国公私立大学を通じた大学教育改革支援予算案について中岡 司大学振興課長が、さらに、科学研究費補助金について磯谷桂介学術研究助成課長が基盤研究(B)、(C)への間接経費導入等について、それぞれ詳細に述べた。
 理事会の終了後には、新年懇親夕食会が開かれ、磯田文雄私学部長等も出席して、今後の連携等を図るべく懇親を深めた。

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