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平成19年1月 第2257号(1月1日) 2007年新春特別号

2007年―年頭所感
  個性豊かで活力ある私大へ

日本私立大学協会副会長/愛知学院大学学院長・学長 小出 忠孝

 新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には、お健やかに新春を迎えられたことと心よりお慶び申し上げます。
 日本私立大学協会は、昨年一一大学が入会し、現在三七一大学が加盟する、わが国最大の大学団体となっています。高等教育(大学)の約七五%を私立大学が担っているわが国では、高等教育の将来は本協会加盟の各大学の双肩にかかっていると言っても過言ではなく、本協会の責任は極めて大であります。
 昨年、本協会は創立六〇周年を迎え、十一月三十日に記念式典と祝賀会を挙行し、わが国における私立大学の使命と責務の重要性を痛感して、「建学の精神に基づく人間教育を推進し、日本と世界の新時代を開拓する青少年を育成」するなどの決意を表明しました。
 近年、わが国社会は、知識基盤社会の到来やグローバル化、情報化、少子高齢化、高学歴化等を背景として社会構造に大きな変動を来し、更にその変化のスピードも速くなっています。これからの社会は、あらゆる分野において人材の質がその有り様を左右する社会となり、教育の質が一層重要となってきます。特に、わが国のように天然資源に恵まれない国では、高度の教育により、高い資質能力を有する優れた人材を育成することが重要であり、高等教育、特に、その大半を占める私立大学の責任は極めて大であります。
 しかしながら、現在の大学を取り巻く環境は極めて厳しくなっています。昨年から、新学習指導要領で教育を受け、学習内容が三〇%減少した高校生が進学してきています。そのうえ、昨秋問題となった必修科目未履修生が存在していることは驚くべきことであり、大衆化した大学における学生の学力の低下、学習意欲の低下、学習目標の不明確などとともに、学習指導上の困難な問題が数多く現出しています。
 加えて私立大学にとって更に厳しい状況は、一八歳人口の減少による、定員を確保できない大学の急増です。昨年、定員割れが生じた大学は二二二校(四〇・四%)に急増し、定員の五〇%未満の大学も二〇校に増加しています。更に、国立大学協会が推薦入学等の定員枠を五〇%に拡大する方針を打ち出しました。また、大都市圏の大規模私立大学では入学定員の大幅増を図るなど、いずれも地方の中小規模の私立大学に与える影響は大であります。
 このように私立大学にとって非常に厳しい環境の中で、いかに努力して難局を乗り切るか。私立大学に課せられた難題です。全教職員は「学生を選ぶ大学」から「学生に選ばれる大学」に移行しつつあることへの危機意識を持ち、学生の学力向上と卒業生の質の保証に努めるとともに、社会のニーズに対応した特色ある教育、また、社会に貢献する教育により、社会からの評価を高める努力が肝要となります。各大学が建学の精神の下に新しい時代に対応し、個性豊かで活力ある私立大学となられることを期待するものです。皆様のご支援をお願いします。

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