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平成18年12月 第2256号(12月13日)

静岡文化芸術大学
 故木村学長を悼む

 去る十月十七日に七六歳で逝去した木村尚三郎静岡文化芸術大学学長を悼むお別れの会が十一月二十六日(日)、同大学講堂においてしめやかに執り行われた。この会は、「コトバをカタチに、ココロをカタチに―五感を意識した象徴的なお別れの会」をコンセプトに企画したものである。
 「人が集う社会には、目・耳・口・鼻・手足のすべてにとって美しく心地よい感覚空間が不可欠。それは、土地の持ち味や文化を掘り起こしながら、人と人、人と自然、人と歴史の三つの“共生”が実現するところに生まれます」と木村学長が遺したコトバを象徴化し、映像や会場構成はデザインされていた。
 講堂に入るとそこは和の空間。障子風の屏風からは柔らかな光がこぼれ、木の香りに包まれた通路が参列者を舞台ヘと誘った。
 舞台には、天上と地上とを結ぶHASHIをイメージしたHASHI・RA(柱)が配置され、フランスの「石の文化」を土台に、日本が世界に誇る「木の文化」のHASHI・RAをそれぞれ継手の伝統技術でつなぐことにより、木村学長の言う三つの共生を表現していた。
 中央スクリーンには、在りし日の木村学長と「日本人と木は相性がいい」といった木村語録で構成されたイメージ映像が流れ、木村学長への思いを募らせていた。
 理事長である石川嘉延静岡県知事や卒業生など、木村学長とゆかりの深い人たちによるお別れのことばに続き、浜松市出身のシンガー鈴木重子さん(映像出演)による献歌「ふるさと」が流れると、懐かしさにすすり泣く人も。遺族がお礼のことばを述べた後、参列者による献花が始まり、会場を埋めた六〇〇人が、それぞれの思いを込めてHASHI・RA(柱)に設けられた献花台に花を手向けた.
 木村学長の思いを形に表現したお別れの会は、木村学長のやさしさと偉大さを再認識させ、参会者の心に深く残る会となった。

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