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平成18年10月 第2249号(10月11日)

「スポーツ振興基本計画 」を見直し 10年計画の後半5年間分

 文部科学省は去る九月二十一日、平成十三年度から二十二年度までの一〇年計画である「スポーツ振興基本計画」の後半五年間分の計画を改定した。この計画は、スポーツ振興法(昭和三十六年法律第一四一号)第四条第一項の規定に基づき、スポーツの振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成十三年度からの一〇年計画で同省が策定している。

 全体の構成は、子どもの体力の向上が心身の健全な発達の上で、大きな課題となっていることから、外遊びやスポーツ等を通じた「子どもの体力の向上」を、新たに政策課題の一つ目の柱としている。現行計画の三つ目の柱(生涯スポーツ・競技スポーツと学校体育との連携)は、計画全体の理念として各施策の中に反映し、引き続き目標の達成を目指すとしている。
  各政策目標に関する記述の主な修正点は次のとおり。

一、子どもの体力の向上
  ○
家庭、学校、地域において、子どもの体力の向上を目指した取組がなされるよう、関係団体等とともに、全国民にアピールする取組について。
  ○
大学や研究機関等における子どもの体力向上に関する研究成果等の普及啓発や、子どもの発育発達段階に応じた効果的な運動プログラムの開発に関する調査研究の実施について。
  ○
全国学力・学習状況調査の中で、都道府県別の子どもの体力の状況等も公表することにより、各学校における指導の改善を図るとともに、各地域における子どものスポーツ活動の充実に向けた取組を促すことについて。
  ○
学校において始業前や休み時間に体を動かす時間を確保する取組や、小学校をはじめとした総合運動部活動の実施など、児童生徒が興味・関心に応じて様々な種目に取り組むことができる環境づくりについて。
  ○
幼児を対象とする外遊び等を通じた体力向上のための実践的な調査研究の実施について。
  ○
教員養成系及び体育系大学の学生を、体育の授業や運動部活動等における教員等の補助者として積極的に活用することについて。
  ○
子どもが緑豊かなグラウンドで楽しく安全にスポーツに親しめる環境を創り出すため、学校や地域の実態等に応じて屋外運動場の芝生化を積極的に促進することについて。
  ○
教員の指導力の向上、子どもが体を動かしたくなる場の充実、体育の授業の充実、運動部活動の改善・充実について。

二、生涯スポーツ社会の実現
  ○
総合型地域スポーツクラブについては、地方公共団体によって取組の格差があることから、域内に総合型地域スポーツクラブが存在しない市区町村への積極的なはたらきかけなどにより、総合型地域スポーツクラブの増加を図ることなどについて。
  ○
子どものスポーツ環境の充実等に資する特色ある取組を行う総合型地域スポーツクラブを、広域スポーツセンターを通じて支援するなど、既存のクラブの発展を図るための取組を実施することなどについて。
  ○
クラブマネジャーについては、総合型地域スポーツクラブの育成に尽力している取組が適切に評価される仕組み(表彰等)の検討について。
  ○
スポーツ指導者の養成・確保・活用については、財団法人日本体育協会を中心とするスポーツ団体が行う指導者養成・活用の在り方について、国としての基本的な考え方を示す指針を策定することについて。
  ○
市区町村におけるリーダーバンク制度の整備やネットワーク化など、スポーツ指導者の効果的な活用方策を研究し、その成果を全国に普及していくことについて。
  ○
市区町村において、関係者による話し合いの場を確保し、総合型地域スポーツクラブや学校等におけるスポーツ指導者の活用を促進することについて。

三、国際競技力の向上
  ○
トップレベル競技者を組織的・計画的に育成するための一貫指導システムについては、大多数の競技団体における競技者育成プログラムの作成が終了したことを踏まえ、国、JOC及び競技団体は全国的な普及に取り組む、との進捗に応じて記述。
  ○
ナショナルレベルの本格的なトレーニング拠点の整備については、ナショナルトレーニングセンター中核拠点施設を平成十九年中に整備するとともに、冬季競技等のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点をできるだけ早期に指定し、支援を開始すること等について。
  ○
スポーツ環境の変化に対応して、地域との連携を目指すトップレベルのスポーツクラブ等に対する支援を実施するとともに、地域に支えられるスポーツの在り方及び企業の多様なスポーツ支援の在り方に関し必要な検討を行うことについて。
  ○
トップレベルの競技者に対するセカンドキャリア支援の充実については、引退後必要となる職業的知識や技能を習得する機会を提供できるよう、セカンドキャリアに関する研修プログラムを開発し、実施するとともに、指導者となるための研修を実施し、研修活動に対する支援措置を充実すること、及び、セカンドキャリアに係る資格や技能を身に付けるための支援等について。
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