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平成18年10月 第2249号(10月11日)

第125回総会(秋季)を札幌で開催
  創立60周年記念事業(11/30)の詳細も決まる


 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る十月六日、札幌市の京王プラザホテル札幌において、同協会北海道支部(支部長=森本正夫北海学園大学理事長)の担当の下、第一二五回総会(秋季)を開催した。同総会は第五六九回理事会に引き続いて開かれたもので、加盟三七一大学から二四〇大学、三四〇名の理事長・学長等が一堂に会し、平成十七年度の収支決算を承認するとともに、協議事項として、
(1)
平成十九年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私学関係税制改善対策に関する経過報告と今後の実現対策等について、
(2)
高等教育激動期における私立大学の振興
(3)
発展方策について、C同協会創立六〇周年記念事業について、
(4)
同協会役員の補任についてなどの協議が行われた。

また、総会終了後には、懇親晩餐会が盛大に催され、高橋はるみ北海道知事、上田文雄札幌市長が来賓として招かれ、歓迎の挨拶とともに祝辞を述べた。なお、総会の翌日には、小樽方面(小樽貴賓館〈にしん御殿・旧青山別邸〉など)への懇親見学会も実施された。

 開会に当たり大沼会長は「教育再生を期す安倍新内閣が誕生した。産業界の多くの人たちも教育に大きな関心を示している。教育の過半を担う私学は厳しい状況にあるが、この新政権に期待したい。今年の秋の総会は、札幌での開催となったが、このように多くの理事長、学長の方々に出席いただいたということは、それだけ課題も多いということの表れだろうと思う。加盟全大学が一致協力し、私学振興の歩みを加速させたい。なお、この総会の諸準備を担当していただいた北海道支部の皆さんには心より感謝申し上げたい」と挨拶した。
  また、森本支部長は「一八七万都市・札幌での開催となり、遠路よりお越しいただき、ありがとうこざいます。私大協会の創立六〇周年の節目の年に総会を挙行する機会にめぐり会えた。北海道内の入試状況も一段と厳しい面があるが、教育内容の充実を図るとともに、卒業生の質を高め、地域社会から信頼される大学をめざさなければならない。北の大地の実りある成果を期待しています」と歓迎の挨拶を述べた。
  次に、平成十八年度上半期の新加入会員として、(学)白梅学園(白梅学園大学)、(学)福冨学園(神戸ファッション造形大学)、(学)東京家政学院(筑波学院大学)、(学)聖マリア学院(聖マリア学院大学)、(学)神野学園(岐阜医療科学大学)、(学)河ア学園(大阪河アリハビリテーション大学)、(学)秋田経済法科大学(秋田看護福祉大学)、(学)松本歯科大学(松本歯科大学)、(学)村上学園(東大阪大学)、(学)城南学園(大阪総合保育大学)、(学)札幌大谷学園(札幌大谷大学)の一一校が紹介され、歓迎の拍手に包まれた。
  また、総会出席の橘居d義最高顧問、佐藤登志郎顧問((財)日本高等教育評価機構理事長)、原野幸康参与(同機構専務理事)、齋藤力夫職務上顧問、瀧澤博三同協会附置私学高等教育研究所主幹がそれぞれ紹介された。

17年度収支決算を満場一致で承認
  承認事項に入り、平成十七年度収支決算(平成十八年五月二十四日に監事による監査、同六月二十三日の第五六六回理事会で報告・承認後、加盟大学に送付・報告)について、企画財務委員会担当理事の廣川利男副会長(東京電機大学学園長)より説明された。
  廣川担当理事は、収支決算報告書に基づいて、収支計算書のうち、経常会計(一般会計、教育学術新聞会計、同協会附置私学高等教育研究所会計)と特別会計(事業推進特別会計、退職金特別会計)についてのポイントを中心に説明した。続いて、監事を代表して塚本邦彦監事(大阪芸術大学理事長・学長)が、去る五月時点における監査状況を報告し、平成十七年度の収支決算は満場一致で承認された。

予算・税制改善等の今後の実現対策
  協議事項に入り、はじめに平成十九年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私立学校関係税制改善対策に関する経過報告と今後の実現対策等について、小出秀文事務局長が提案説明を行った。
  平成十九年度予算は、いわゆる“骨太の方針二〇〇六”の財政健全化に向けた歳出改革の下、私学助成予算は「学生数の減少に応じた削減を行うことにより、名目値で対前年度一%減とすることを基本とする」こととなった。同協会は、他団体等、さらに文部科学省等とも連携・折衝した結果、私立大学経常費補助の対前年度五〇億円の増額等の概算要求が取りまとめられ、与党自民党三役の他、関係議員に要請活動を展開している。
  なお、「定員割れ大学への一般補助の見直し」に対しては、「改善に取り組んでいる大学への特別補助の新設四〇億円」など、文科省と私学事業団等との連携による施策のほか、これまでの特別補助の在り方を大幅に見直し、各大学の特色を活かせるきめ細かな支援策(地域社会のニーズに応える教育の推進、個性豊かで多様な教育の推進、教育研究活動の高度化・拠点の形成などのメニュー化)を講じる要望となっている。
  また、国公私立大学共通の競争的資金の中の「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」に関連して、同協会が十一月に予定しているシニア世代受入れの協議会の説明がされるなど、地域で特色ある教育・研究を展開する私学に配慮したプログラムも多く、積極的な申請を呼びかけた。
  さらに、科学研究費補助金についても、私学からの申請の多い二〇〇〇万円以下の事業である基盤研究(B)、(C)にも間接経費(三〇%)の新規導入を要望していることにも注目を促した。
  税制改正要望では、私学振興のための寄附税制の拡充として、個人からの寄附金について、所得控除される寄附金の上限を所得の五〇%まで拡大(従来は三〇%)する。このことにより、寄附が活発化し、教育費負担の軽減が図られることが期待されている。
  これらの予算・税制改正の多岐にわたる今後の実現対策は協議の上、全て了承された。

高等教育激動期の私大の振興・発展方策
  高等教育激動期における私立大学の振興・発展方策については、小出事務局長の経過説明の後、各項目ごとに関係する役員等から解説が行われるとともに協議が行われた。
  規制改革関連問題では、教育バウチャー問題、教育分野への株式会社参入問題、校地・校舎の自己所有要件見直し問題などについて、黒田壽二副会長から、株式会社参入等、規制改革会議等が決めており、反対しにくい側面がある。校地・校舎の自己所有要件についても撤廃する方向の議論もあり、十八年度中に処置することになっているなど、私学全体として意見を取りまとめ、文科省、政府等に意見具申する必要がある。これらのことが認められると、「学校法人と株式会社との違いは何か」が問われかねない、などと危惧を示した。協議では、従前と同様に反対の姿勢で臨むことを確認した。
  次に、学校法人債問題については、小出事務局長が、市場流通性のある学校法人債(有価証券)の説明、既存の学校債との違いなどを説明した上で、その影響・功罪は多岐にわたることが想定されることから、基本的な考え方等を慎重に議論することになった。
  引き続き、中央教育審議会の議論の動向についてでは、小出事務局長から、大学の教員組織の整備に関する質疑応答集(同協会版)を活用し、今年十二月三十一日までに学則変更の届出を行うことなど、遺漏のないようにと説明があった。その他、教員養成・免許制度の在り方の答申内容の概略を解説するとともに、中教審教員養成部会委員の拒q 翔明海大学学長が「これまで一種免許が標準であったが、教職大学院ができると専修免許が標準になってくることが考えられ、開放制に与える影響は大きくなるだろう」などとの意見を述べた。
  そのほか、私学経営をめぐる諸問題では、私学事業団の学校法人活性化・再生研究会の「学校法人の経営革新と経営困難・破綻への対応」(中間まとめ)に関連して、同研究会の委員である廣川副会長より「委員のメンバーの多くは競争原理・市場原理の考え方が強い。今後は、経営判断指標の新たな設定などを中心に分科会等で検討を進めることになっているが、私学の意向反映に努めたい」と述べた。
  フロアからは、「経営の効率化の陰にある教育の質の担保について」の質問もあったが、「経営が改善されなければ、質も改善されない」との意見もあり、重要な問題であることから、この点にも十分に配慮した議論の必要性が訴えられた。

60周年記念式典・記念祝賀会の実施
  同協会の創立六〇周年記念事業については、小出事務局長が提案説明した。企画財務委員会で検討を重ねてきたもので、来たる十一月三十日(木)に東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で開催される。日程は、記念式典(一六時三〇分〜一七時三〇分)、記念祝賀会(一八時〜二〇時)である。
  記念式典では、大沼会長の式辞に続いて創立六〇周年の決意表明を黒田副会長が行い、その後、伊吹文明文科大臣、鳥居泰彦私学事業団理事長等の来賓祝辞が予定されている。招待者・出席者は、同協会加盟大学、私学関係団体、文科省等。
  記念祝賀会では、来賓挨拶として、安西祐一郎全私連代表、森 喜朗元内閣総理大臣等が予定されている。乾杯の発声は、橘最高顧問等。招待者・出席者は、記念式典出席者のほか、政府関係者、国会関係者、衆・参文教関係国会議員など。その他、六〇周年記念誌も刊行する。
  役員の補任についてでは東京造形大学の小田一幸理事長(関東地区)と九州国際大学の田賢一郎理事長(九州地区)の理事就任が提案・承認された。なお、三月の総会で会長一任となり、四月の理事会で承認された(関東地区選出の)佐藤副会長の退任に伴う副会長に(会長推薦であった)廣川副会長を、そして、新たに会長推薦の副会長に原田嘉中千葉商科大学理事長の就任の報告があった。
  協議事項の後、来年の秋季総会を担当する九州支部長の西村駿一副会長より、「来年十一月三十日の実施だが、皆さんのご出席をお願いしたい」と挨拶した。

18年度上半期の事業推進状況等報告事項
  報告事項に移り、小出事務局長が平成十八年度上半期の事業について、滞りなく推進していることを報告したほか、附置私学高等教育研究所の事業については、瀧澤主幹が報告した。また、被用者年金一元化問題のその後の動向について、新三階部分の制度設計の検討が進められていること、さらに、大学評価事業への対応についてでは、(財)日本高等教育評価機構の佐藤理事長、原野専務理事から事業活動等の報告が行われて閉会となった。

懇親晩餐会及び小樽への懇親見学会
  懇親晩餐会では、当地の高橋知事、上田市長が歓迎の挨拶を述べ、森本支部長の歓迎挨拶・乾杯の発声と続き、アトラクションとして、国指定重要無形民族文化財の「アイヌ古式舞踏」が披露されるなど、加盟大学が一堂に会しての有意義な懇談が続いた。
  なお、翌日には、小樽方面への懇親見学会が実施され、約一三〇名が参加し北の誉酒泉館・日本銀行旧小樽支店(金融資料館)・旧日本郵船小樽支店・小樽貴賓館などを見学した。

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