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平成18年9月 第2247号(9月27日)

裁判員研修を正課に摂南大で初めて

 摂南大学(森本益之学長)の地域連携センターでは、九月三十日シから全一三回で、地域市民と学生向けの教養特別講義「現代市民としての裁判員研修入門」を同大学法学部との共催で開始する。裁判員研修を正課授業として行うのは、全国でも初めての取り組みとなる。
  裁判員制度は、国民から選ばれた「裁判員」が、裁判官と一緒に刑事裁判の審理に参加して、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と決める制度で、二〇〇九年度から実施されることになっている。現在、最高裁判所等がブックレット等を作成して普及啓発を行っているが、国民の意識や認知度はまだまだ低く、こうした背景等から同大学では、地域市民の「安全・安心」に貢献する取り組みの一環として、市民のリーガルマインドの向上を目的に、全国にさきがけて同研修をスタートさせた。
  具体的には、制度についての講義や演習のほか、実際の刑事裁判の傍聴や刑務所の参観、また、今年十二月に完成する裁判員制度に準拠した模擬法廷における裁判員としての参加などを行う。講義担当者のうち二人は、大阪高等裁判所で判事を経験したことのある教員のため、クオリティの高い講義が期待できる。
  このたびの特別講義を企画した山根敬三センター長は「一度やっておしまい、という話題づくりのための企画ではなく、地域に真に貢献するため、地道に継続して実施していきたい」と話している。

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 《裁判員制度》
  国民の司法参加を目指して「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が二〇〇四年五月に成立した。
  原則として裁判員六人と裁判官三人が刑事裁判の審理に出席し、証拠調べ手続や弁論手続に立ち会ったうえで、(1)刑罰権の存否及び範囲を定める「事実の認定」、(2)認定した事実が裁判官の示した法律の解釈に該当するかを判断する「法令の適用」、(3)有罪の場合、刑の種類と量を決める「刑の量刑」を行う。
  満二〇歳以上の日本国民であれば、原則として誰でも裁判員になることができるが、禁錮以上の刑に処された人、あるいは国会議員、大学の法律学の教授・准教授、審理する事件の被告人等の親族、同居人等はなることができない。また、裁判員の対象事件は、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪などの重大な犯罪の疑いで起訴された事件で、第一審の刑事裁判に関わる。

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