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平成18年9月 第2244号(9月6日)

平成19年度 文部科学省が概算要求提出
私学助成4660億7800万円

私大等経常費補助3362.5億円(対前年度50億円増)

 文部科学省は八月末、平成十九年度予算の概算要求を財務省に提出した。一般会計は五兆八〇三九億一九〇〇万円。前年度予算に比べて六七一五億二〇〇万円(一三・一%)の増額となっている。私学助成関係では、私立大学等経常費補助金三三六二億五〇〇〇万円(対前年度予算五〇億円増)、私立高等学校等経常費助成費等補助一〇六八億五〇〇〇万円(同三〇億円増)などとなっており、合計で四六六〇億七八〇〇万円(同八五億円増)となった。また、国公私立大学を通じた大学教育改革の支援については九七一億六三〇〇万円(同四〇〇億八五〇〇万円増)と七〇%強の大幅な増加となった。私学は、今後、要求額の満額実現めざして要請活動を展開していくことになる。主要事項の概要は次のとおり。(各部局の詳細は2面、3面に掲載)

教育・文化立国の実現
 一、初等中等教育の充実―どの子どもにも豊かな教育を―(以下、カッコ内は対前年度予算との増減)
 (1)世界トップレベルの義務教育の質の保証=学力調査、国語力・理数教育の充実など三五四億八六〇〇万円(二三〇億四三〇〇万円)【一部再掲】
 (2)豊かな心の育成=九二億九五〇〇万円(三四億二四〇〇万円)【一部再掲】
 (3)充実した教育を支える環境の整備=教職員確保、幼児教育の振興など一兆七一二五億八八〇〇万円(一四四億五九〇〇万円)【一部再掲】
 (4)公立学校施設の耐震化の推進等=一四六〇億円(四二〇億五七〇〇万円)
 二、学校・家庭・地域等の連携による「人間力」の向上―家庭・地域の教育力の向上―
 (1)放課後子どもプランの創設〈新規〉=一三七億五九〇〇万円
 (2)地域の教育力の再生=三一億五三〇〇万円(二一億二八〇〇万円)【一部再掲】
 (3)家庭の教育力の向上=二二億二六〇〇万円(八億五一〇〇万円)
 (4)子どもの心身の健やかな発達を守るための健康教育の推進=子ども安心プロジェクトなど三二億九六〇〇万円(六億六九〇〇万円)
 (5)青少年の健全育成の推進=一五億一八〇〇万円(五億八〇〇〇万円)
 三、自立し挑戦する人材の育成―再チャレンジに資する教育の推進及び職業能力の向上―
 (1)教育分野における再チャレンジの支援=三一三億六三〇〇万円(二七七億八七〇〇万円)【一部再掲】
 (2)自立し挑戦する若者等の育成=キャリア教育・職業教育の推進など二一三億一六〇〇万円(一〇九億八〇〇万円)【一部再掲】
 四、大学改革の推進―教育研究・人材養成機能の強化―
 (1)国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実=特色GP、現代GP、国際化推進プログラム、専門職大学院教育推進プログラム、教員養成推進プログラム、社会的ニーズに対応した学生支援プログラム〈新規〉、社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム〈新規〉など二六七億五五〇〇万円(一三八億四六〇〇万円)
 (2)世界最高水準の卓越した教育研究拠点形成と大学院教育の抜本的強化=二十一世紀COE〈二七四拠点〉を踏まえ、世界的な教育研究拠点〈六〇拠点を予定〉を重点的に支援六一二億八五〇〇万円(一九二億八五〇〇万円)
 (3)地域医療、がん等に関わる医療人材養成機能の強化=六四億五三〇〇万円(五一億六〇〇〇万円)
 (4)国立大学等における教育研究の充実と活性化=運営費交付金等一兆二二九二億六三〇〇万円(七七億八五〇〇万円)
 (5)第二次国立大学等施設緊急整備五か年計画の推進【他に財政融資資金(財投機関債含)】=七四六億八五〇〇万円【七一二億円】(二二八億四六〇〇万円【五一億円】)、その他、施設費交付事業八六億円
 (6)教育費負担軽減のための奨学金事業の充実【他に財政融資資金=貸与人員の増員、貸与月額の増額など(財投機関債含)】一三五九億八三〇〇万円【四七六一億円】(二二五億八五〇〇万円【一一八億円】)
 (7)産学連携による高度人材育成の充実=先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム、ものづくり技術者育成支援事業〈新規〉など二六億七一〇〇万円(一七億九四〇〇万円)
 五、私学助成の充実―個性豊かで活力ある私学へ―
   私学助成関係予算
   私大等の特別補助大幅改組 3ゾーンに多様なメニュー
 (1)私立大学等の経常費補助=三三六二億五〇〇〇万円(五〇億円)/一般補助二二〇三億七九〇〇万円(同額)、特別補助一一五八億七一〇〇万円(五〇億円)―従来の補助項目を「地域社会のニーズに応える教育の推進」「個性豊かで多様な教育の推進」「教育研究活動の高度化・拠点形成」の三ゾーンに分け、それぞれに多様なメニューを設ける。
 (2)私立高等学校等の経常費助成費等補助=一〇六八億五〇〇〇万円(三〇億円)
 (3)私立大学等における教育研究装置・施設の整備費補助=一一六億三四〇〇万円(二億円)/(1)私立大学学術研究高度化推進事業〈ハイテク、学術フロンティア、社会連携、オープン・リサーチ〉四五億八九〇〇万円(六〇〇万円)、(2)教育研究装置整備費補助一七億四七〇〇万円(同額)、(3)情報通信施設二一億三三〇〇万円(二〇〇〇万円)、(4)情報通信装置一一億二五〇〇万円(二〇〇〇万円)、 (5)私立大学等防災機能等強化緊急特別推進事業二〇億四一〇〇万円(一億五四〇〇万円)
 (4)私立高等学校等の施設整備費補助二二億七八〇〇万円(二億円)
 (5)私立大学等の研究設備等の整備費補助=六五億七七〇〇万円(一億円)/(1)研究設備〈私立大学学術研究高度化推進設備含む〉四四億四七〇〇万円(一億三五〇〇万円)〈大学の五〇〇万円以上四〇〇〇万円未満の設備で三分の二以内の補助率〉、(2)情報処理関係設備〈サイバーキャンパス整備事業含む〉二一億三〇〇〇万円(△三五〇〇万円)〈一〇〇〇万円以上の設備で二分の一以内の補助率〉
 (6)私立高等学校等IT教育設備整備推進事業一三億円(同額)
 (7)私立学校施設高度化推進事業費補助一一億八九〇〇万円(同額)/老朽校舎(築三〇年以上)及び旧耐震基準(昭和五十六年以前の建物)の学校施設の建替え整備事業について一〇年間の利子助成を行う。
 (8)日本私立学校振興・共済事業団貸付事業一七〇億円(七億円)。なお、自己調達資金の一部として発行する財投機関債(私学振興債券)は八〇億円を計画。
 六、国際教育交流・協力の推進
 (1)留学生交流の推進=四四一億一七〇〇万円(二八億六五〇〇万円)
 (2)大学の「知」を活用した国際協力の推進=国際協力イニシアティブ〈新規〉五億一〇〇〇万円
 (3)外国人の生活環境適応のための教育の充実〈新規〉四億六〇〇万円【一部再掲】
 七、豊かなスポーツ環境づくりの推進
 (1)世界で活躍するトップレベル競技者の育成・強化=二一三億七〇〇万円(一二八億四〇〇万円)
 (2)生涯スポーツ社会の実現=一五億円(二億三〇〇万円)
 (3)子どもの体力の向上=八億一〇〇〇万円(一億三一〇〇万円)
 八、「文化力」による地域づくり・国づくり
 (1)文化芸術立国プロジェクトの推進=二五五億五四〇〇万円(四六億二九〇〇万円)
 (2)文化財の次世代への継承と国際協力の推進=三七六億七二〇〇万円(三一億七八〇〇万円)
 (3)文化芸術振興のための文化拠点の充実=四五四億三七〇〇万円(六八億四〇〇〇万円)

科学技術創造立国の実現
 一、科学技術関係人材の育成、確保、活躍の促進
 (1)次代を担う人材への理数教育の充実=理科支援員等配置、ティーチャーズ・サイエンスキャンプなど新規事業等の展開一八六億三六〇〇万円(九五億一九〇〇万円)【一部再掲】
 (2)若手、女性、外国人が活躍できる環境の形成=六五五億八四〇〇万円(八五億一九〇〇万円)【一部再掲】
 (3)大学における人材育成機能の強化と産学が協働した人材育成=一一五五億二〇〇〇万円(二九七億二〇〇〇万円)【一部再掲】
 (4)科学技術に関する理解と意識の醸成=九五億七六〇〇万円(八億八〇〇万円)【一部再掲】
 二、基礎研究の充実とイノベーション・システムの強化
 (1)独創的・先端的基礎研究の推進=一〇九四億六八〇〇万円(一五七億九五〇〇万円)【再掲】
 (2)競争的資金の拡充等による研究開発の推進=競争的資金の拡充、間接経費に関する調査研究事業の新設など四二六〇億六七〇〇万円(六七六億五九〇〇万円)【一部再掲】
 (3)イノベーションを生み出すシステムの強化=技術シーズの創出、産学官連携の加速、地域イノベーションの強化など一三八八億七六〇〇万円(三二〇億九三〇〇万円)【一部再掲】
 (4)科学技術振興のための基盤の強化=六五九億八七〇〇万円(二一九億七一〇〇万円)【一部再掲】
 三、国家基幹技術など戦略重点科学技術への重点投資
 (1)分野別研究開発の戦略的推進=ライフサイエンスをはじめ情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料など九一六九億二二〇〇万円(一六四四億八五〇〇万円)【一部再掲】
 (2)国家基幹技術への集中投資=宇宙輸送システム、次世代スーパーコンピュータなど一二五七億一二〇〇万円(五五五億九七〇〇万円)【再掲】
 (3)安全・安心に資する科学技術の推進=一九〇億一二〇〇万円(三五億七二〇〇万円)【一部再掲】
 (4)経済活性化のための研究開発プロジェクトの推進=九〇一億七七〇〇万円(四八一億三六〇〇万円)【再掲】
 四、国際活動の戦略的推進
 (1)科学技術の国際活動の強化に向けた取組=二〇八億六一〇〇万円(四一億六五〇〇万円)【一部再掲】
  なお、以上の要望には新たに設定された「経済成長戦略推進要望」の(1)国際競争力の強化、(2)生産性の向上、(3)地域・中小企業の活性化、(4)生産性向上型の五つの制度インフラに関わる項目も含んでいる。

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