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平成19年1月 第2258号(1月10日)

"学生主役"のボランティア活動を 学生支援機構が学生部関係者と集い

 教育にボランティア活動を―日本学生支援機構(北原保雄理事長)は、昨年十二月八日、東京・台場の東京国際交流館において、「学生ボランティア活動支援・促進のための連絡協議の集い」を開催、学生のボランティア活動支援に携わる関係者が熱心に情報交換をした。

 安倍晋三首相の著書「美しい国へ」にもボランティア活動の義務化が提案されているように、学内外における社会体験・地域活動の教育的有効性が、近年注目を集め、また、関係者同士の情報交換や緊密な連携・協力が強く望まれている。こうした状況を踏まえて、この集いは開催された。
 まず、文部科学省生涯学習政策局社会教育課の出口寿久ボランティア活動推進専門官が講演をした。同省では、ボランティア講座やNPOに関する専門科目の開設、学内のサポート体制の充実等、学生に対する奨励・支援を行っている。大学においても、ボランティア活動に関する窓口の設置や、ボランティア活動を取り入れた授業科目等の開設が増加している。また、活動経験のある大学生も増加しており、活動分野は「スポーツ・レクリエーション等の指導」、「自然・環境保護活動」、「高齢者や障害者の支援」が上位を占めているという。
 続く、パネルディスカッションでは、「『学生が主役』のボランティア活動をサポートする」をテーマに、村山史世氏(麻布大学環境保健学部講師)、足立陽子氏(立命館大学ボランティアセンターボランティアコーディネーター)、宮本 匠氏(大阪大学人間科学部ボランティア人間科学講座四年生)がパネリストとして登壇。司会の富江伸治氏(筑波大学名誉教授)は、「時に学生への押し付けになりがちなボランティア活動において、学生が主役とはどういうことか」とパネリストに投げかけた。村山氏は、同大学での取り組みを紹介すると共に、「学生はボランティア活動を目的としているわけではなく、それぞれの動機を持って参加している。教職員はこうした学生を、制度や予算がなくても支援しなければならない」と述べた。足立氏は、同大学のボランティア教育の体系化や組織について紹介し、「学生にとって、ボランティア活動が楽しいことが継続の秘訣だ」と述べた。宮本氏は、自身の体験を詳細に解説すると共に、「面白い現場の受け入れ先があることが重要。単位はその後でもいい」と述べた。
 午後には、次の五つの分科会ごとに進行し、午後五時に閉会となった。カッコ内はコーディネーター。
 ▽学生部職員のためのボランティア入門(興梠 寛氏・社会福祉法人世田谷ボランティア協会理事長)、▽ボランティアセンターのつくりかた(村田素子氏・聖心女子大学学生部マグダレナ・ソフィアセンター)、▽実践的ボランティアコーディネーション術(小抜 隆氏・東北福祉大学ボランティアセンターコーディネーター)、▽大学の授業におけるボランティア体験学習の可能性(栗田充冶氏・亜細亜大学国際関係学部教授)、▽学生が結ぶボランティアネットワーク(宮本氏)

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